4



さて、と手を合わせる。

「少々訊きたいことがあるんだけど、いいかな前原さん」
「訊きたいこと、ですか?」
「そ、ファンクラブとして今回の白石君の事はどうするつもりなのかな?」
「どうするって……?」
「だから、いつものように犯人を探して制裁を加えるかって訊いているんだよ」

制裁という言葉に前原さんが息を詰めた。財前君に説明する為に彼を見ながら口を開く。

「財前君は知っていると思うけれど、前の年にもあったあれだよ。まあ、好きな人を辱められたんだ。当たり前だろうけどね」

ふふふと口を緩めて語る。

「今回は犯人が分かっていないようだから大掛かりな犯人探しが行われるだろうね。そうだ、 財前君今回は探偵役を名乗り出てみようか。犯人探しなんて一生に一度の経験じゃない?」
「犯人探し……? そ、そんなんあるんですか?」
「あれえ? 前原さんは知らなかったの? 舞得さんも意地悪だねえ。犯人探しだけじゃないよ。そのあとの制裁も勿論ある」
「制裁」
「そう、今回はどうなるかな。前の子は精神的におかしくなっちゃって入院してるって聞くけど、今回もそうなっちゃうのかな」

前原さんに向き直ると、大変面白い表情を見せてくれた。まるで怪談話をきいたように凍える顔を震わせている。

「どうかした? 震えているけれど」
「あ、あの、ファンクラブは穏やかになったんですやろ? そんなことしちゃいけないんやないんですか」
「表面上のことを語られたって困るよ。君だって、今やっているじゃないか、いろいろと」

暗に輪道さんのことを匂わせると、ビクッと肩が大仰に揺れた。

「あはっ、楽しみだね。今回の犯人は誰かなあ」
「あ、あのっ、うち、漂白剤とってきます! あ、えっと、部屋の鍵開けていくんで使ってどうぞ!」

ドタバタと部屋を立ち去って行く前原さん。
脅し過ぎたかな。
女の子なんだから、そこらへんのことは怖がるか。あんだけオドオドした子だものね。
ふうと息を吐き出す。
しんとした場に疑問を覚えて財前君を見ると、彼は頬を膨らませてそっぽを向いていた。
…………子供過ぎて頭が痛い。

- 23 -


[*前] | [次#]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -