「もしも、もしもの話しだけどさ、私が君に告白とかしたらどうする?」

「いきなりッスね。頭打ちました?」


タオルで頭をふきながら、財前君と帰る。久しぶりの財前君との下校、ドキドキよりもファンクラブに見られてないかのドキドキの方が大きい私は完全に毒されてるんだろう。

そう思いながらも、財前君を見る。輪道さんを見ていたお花畑モードの時よりも覚醒はしていた。生意気になったと言ってもいいかもしれないけど


「もしも話しだよ、もしもだ、ノリで答えていいから。答えてくれないかな?」

「そうですねぇ、断りますわ」

「あれ、やっぱり?うーん、そんなに魅力ないかな」

「魅力うんぬんの問題じゃないですわ、先輩と付き合うなんて恐れ多くて出来ませんっすわ」

「そんな謙虚ぶらなくてもいいよ、思ってること言ってくれて、―――好きな人が他にいるんでしょう?」

「な、なんで、そう思うんです?別に」

「輪道さんを見ている目がいつもの財前君と違う。財前君の頭がお花畑になってる。などの情報によって、財前君には好きな人が出来たと仮定するよ」

「………」

「黙秘は肯定と受けとさせて戴くよ、財前君。で、彼女のどんなところが好きなんだい?私も女の子だ。力の限り手を貸そう」

「……うっ」

「一度恋愛相談というのを受けて見たかったんだ。ねえ、お願いだよ。君の恋の役に私を立たせてくれないかい?」

「……うぅっ」

「じゃないとすぐに取られてしまうよ、彼女。とても可愛らしいんだから」

「は、はい……。なら、よろしゅうお願いしますわ」

「うん。そうなったら、絶対に君と彼女を付き合うまで持っていってあげる。大丈夫、財前君はかなり顔がいい。輪道さんも財前君には気があるように見えるし、上手くいくよ、絶対にね」

「はい」



そうだね、考えてみれば財前君は初めての恋というわけか。小学生も中学生もあんな感じの毒舌で女の子なんて遠巻きにしかいなかっただろうしね。

でも、私に頼ってなんかいけないよねえ。押しに弱いのは知ってたけど押されて納得しちゃ駄目だよ。長年一緒にいたのにそれを理解してくれないっていうのはなかなかくるものがあるな

輪道さんが大好きな財前君。私は財前君が好きだったよ?なんて心で呟いたって聞こえるはずなんてないけどね



「で、まず好きになっとところから聞きたいんだけどいいかな?まずは君がちゃんと信念を持っているか確かめたいんだ、一日で態度が変換するぐらいのものなのだから、なにか凄いことがあったんだろう?」


じゃないと、ファンクラブの皆さんが納得してくれないよ


「あー、それはその。うーっとですわ。……その」

「はっきりしてくれないかい、財前君。ちゃんと言わなくちゃ人には伝わらないよ」

「……昨日、先輩がお昼抜けた後に、その、奏愛先輩と話しとったんです。最初はほんまイライラして、なんや意味わからん八つ当たりしてたんです。でも、なんや五分ぐらいしたらそのイライラしてたのがどっかいきましてん。で奏愛先輩見たら嫌味いわれてもニコニコしとって、そんときに俺なんやこの人のこと勘違いしとるんやなかかと思いましたねん。それから、奏愛先輩の話や表情見とったらすごく愛らしくなって」

「それで好きになったと」

「そう、なります」



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