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灯が消えるまで.




「到着ー」


ガシャンと門が閉まるとわたしはそこから地上を見渡した。見る限り緑ばっかりで、どうやら山の上らしい。随分と遠くに町が見える。


「さて、チャッチャと任務を終わらせますかな」


山じいに言い渡された現世駐在の任務。この世界は本来虚が出る筈のない所らしいが、なぜか最近頻繁に出没しているらしい。調査ではどこかに出現する穴がある可能性があるとかで、わたしが任命された(最近暇で山じいにちょっかいを出していたのが祟ったようだ)。


「……ん?」


子供の悲鳴が聞こえた。それと爆発音。わたしは神経を集中させ音のする場所を特定させ、瞬歩で向かった。上から眺めると、不思議な服を着た子供が二人、虚三体に追われていた。虚の顔を見ると追うのを楽しんでいる。子供が転び、虚が下品に笑う。わたしは虚と子供の間に音もなく立つ。


『な、何だてめぇ!!』
『おい…こいつ死神だ!!』
『何でここにいやがるんだよ!』
「あー…、うっさいなぁ」


騒ぐ虚達に苛ついてきて、手っ取り早く終わらそうと腰に提げている刀を抜いた。始解する必要もない。


「先ず一匹」


ザシュ、と仮面を縦に斬ればあっという間に一体は消えた。それに虚はひっ、という情けない声を上げて逃げ出す。勿論逃がす訳がなくもう一体を浄化。


『う、動くなぁ!!』
「うわぁっ」


最後の一体が子供を掴み盾にした。虚勢を張っているが震えているのが見て取れる。馬鹿だな。


『動くとこいつの命が…』
「その子の命が、何?」


瞬歩で背後に回り込み仮面を断ち、断末魔を上げながら虚は消え去った。小さくため息をついてから斬魄刀を仕舞うと、小さな声で声を掛けられた。


「あ、あの、ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
「んん?いやいいんだ…って、え?」
「?」
「……わたしが見えるの?」


子供達はきょとんと目を丸くした後、当たり前じゃないですか、と笑った。いや虚が見えている時点で霊感があるのか若しくは彼等が霊なのかとは思っていたけど。胸に鎖は付いていないから生身の人間だけどまさか死神まで見えるなんて。


「ごめんごめん何でもないよ。さあ早くここから離れた方がいい。送っていくよ」
「え、あ、」
「さっきみたいなのがまだいるかも知れないからね。家を教えて?」
「えと、忍術学園です」
「忍術…?」


忍術って忍術…忍者?いや確かに時代は違うって聞いてたけどまさかそんなに昔だなんて…。


「あの…」
「あ、ううん何でもないよ。それでどこにあるの?」
「………あ」


彼等はピタリと動きを止め、お互い顔を見合わせた。何か嫌な予感…。


「私達迷ってたんだった…」


何となくわかってたけどね!
110102

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