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Giochiamo!(仮).




「…何なんだ」
「あの女は何者だ?」
「俺が知るわけないだろ…」


小声だがわたしに届いた声は戸惑っているのが伝わった(そりゃそうだ)。紫苑はまだわたしから離れる気配はないし、杏や浅緑達は空気を読んでか遠目で見守っている。まあ紫苑はクーデレ(素直だけど)だから甘えることは最近はあまりなかった。パートナーとしては嬉しかったりする。


「紫苑、紫苑」
(………)
「わかったわかった。ねえ、わたしが君たちを置いていったり、裏切ったことが一度でもあった?」
(………)
「なかったと思うな。わたしだって君たちがいなきゃ何も残らないの。だから君たちもわたしの側にいてね」
(……ああ)


漸く顔を上げた紫苑はホッとしたのかにっこりと微笑んだ。大人になったなあ。


「そっちのお二人さん、驚かせちゃってごめんね」
「え、あ!?」
「わたしちょいと訳ありで善法寺くん達に助けてもらってね。すぐ出ていくから大丈夫だよ」
(いえ、違いますよ)
「は?」
「あ、出て行かなくて大丈夫ですよ」
「え?」


浅緑と善法寺くんにわたしの言葉を否定され軽く混乱した。出て行かなくて大丈夫ってどういうこと。


「そこの、えっと…」
「浅緑?」
「そう!浅緑くん?が学園長に事情を話したんです。そうしたら怪我が治るまでここに居てもいいと言っていました」
(青藍を通してでしたが)
「え、いやいやわたしもう元気だし!腕だって使えるしそんな長く居座る程でもないよ!何か恩は返したいとは思うけど…」
「でも…」
(ならばなまえ、学園長殿にお会いしてみては?お礼も兼ねて)
「あー、そうだね」


そうだよなあ、やっぱり責任者だしなあ。ていうか学園長って響きに覚えがあるぞ。わたしとんでもない所に来たんじゃないか。


「善法寺くん、学園長先生の所に案内お願いしてもいいかな」
「え、いいですよ。でもそこの浅緑くん達はどうするんですか?」
「ボールに戻ってもらうよ」
(なまえ、私はここに置いていってください)
「杏?」
(夜中、なまえが熱を出して苦しんでいたというのにそこの人間共が煩くて…。苛々してたんです。お相手させてください)
「……そこのお二方、まだ戦う気ある?あるなら相手してあげて」


拒否権はないみたいだけど、と内心付け足しておいた。杏は結構お怒りのようだ。こういう時の杏は無難にストレス発散させた方が、まだ被害は少なくて済む。起きているポケモン達は少し離れた所で人間二人に憐れみの視線を送っている。ご愁傷様。


「…ほどほどにね」
「………善処します」
「善法寺くん、布団と包帯を大量に準備してから行こうか」

100919

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