07
無事みんなとアドレスの交換をして、早くも放課後。わたしとしてはもっと話したいけど、部活もあるらしくほとんど教室から出ていった。残されたのはわたしと喜三太。帰宅部らしく、いつもゲーセンや本屋に行ったりとぶらぶらしてから帰るらしい。家事は皆本くんがやっているから家にいても暇だという。わたしもそれについていくことにした。



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今日はゲーセンの気分だとか言って真っ先に入って行ってしまった。実は、デパートのゲームコーナーにはよく行くけど、こういうゲーセンには慣れてなかったりする。喜三太の後を追って中に入ると、クレーンゲームの窓にべったりと引っ付いているのを見つけた。正直言って怪しいというか関わりたくないけど、仕方なく声をかけた。


「喜三太ー」
「あ、唯ちゃん!見てこれ!」
「え…これ?」
「うん!かわいいよねー」


はにゃーとか言いながら熱烈な視線を向ける先は、なめくじのぬいぐるみ。確かにかわいいかもしれないけど同意しかねるっていうかわたし的に微妙。まず何でなめくじ。


「い、いいと思うよ…(好みの違いかな…)」
「でしょ!これ欲しいんだけど、僕クレーン苦手なんだよねえ…」
「わたしやろうか?」
「ホント!?」
「やるだけやってみるよ。期待はしないでね」


とは言ったものの、物凄い大きくてきらきらとした目で見つめられた。責任重大じゃないか。とりあえず試しに二百円入れて挑戦。ボタンで動かして、目的の上でストップ。そのまま角度を変えたらクレーンが下がる。そして掴んであっ、上がった!ゆっくりゴールの上まで移動するけど、中に落ちるまで油断してはいけない。そして、


「と、取れたー!」
「わあーっ!唯ちゃんすごーい!」


見事わたしは大役を努めたわけだ。大きめのなめくじのぬいぐるみを抱いて喜ぶ姿はホントに可愛い。実際立場逆の気がするけど気にしない。さしずめわたしは彼氏か。こういう心境になるのか。わかんないけど。


「唯ちゃんありがとー!」
「ん(可愛い可愛い)」
「あ、もうこんな時間!行こっ」
「え、行くってどこに?」


急にわたしの手を掴んで歩き出した喜三太に聞くと、それはそれはいい笑顔でくるりと振り向いた(悩殺)。


「ひ・み・つ!」


どっちが女なのかわからない。


二百円


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さすがに蛞蝓を現代で飼ってたら金吾が可哀相かなと思ってぬいぐるみに。部屋に散乱してます。

100315
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