04
よしよし、まずこの状況を説明しようか。HRを終わらせて、そしたら旧友が一気に押し寄せたわけさ。クラスメートはわたしが転校した時と殆ど変わってなくて、数人知らない人が増えてる程度。女の子が少ないのもこの学園の特徴かもしれない。あ、話しを戻すね。つまりはみんな懐かしい友達なわけで、感動の再会なんだけどさ。


「団蔵、苦しい」


さっきからぎゅうぎゅう首に巻き付く腕は力を増すばかり。友達と言っても男と女、二年も経てばいろいろ変わってる。力とか、身長とか。


「唯ー!何で連絡くれなかったんだよーっ」
「だ、だからあの時ケータイ、持ってなかったし…。アド知らなかったら、できないじゃん…」
「会いたかったー!」
「ぐえっ」
「団蔵、そろそろ放さないと唯死ぬぞ」
「え」


きり丸のまさに鶴の一声で首元にあった腕はようやく離れた。こいつ、二年前はわたしと身長そんなに変わらなかったのに、いっちょ前にでっかくなってる。腕も、体つきも逞しくなった(て、わたしどこ見てんだ)。


「ふう…。きりちゃんありがと。助かった」
「お前ホントに団蔵に懐かれてんな」
「犬か」
「相変わらずー」


きり丸も相変わらずひょろいね、とは後が恐いので言わなかった。こいつ、身長はそこそこあるのに白くて細い。相変わらず不健康な肌してる。たぶん、まだバイト漬けしてるんだろう。それに比べて隣のしんべヱはいい身体してる。太ったんじゃないか。


「唯ちゃん久しぶりだね!」
「うん、久しぶり!しんべヱも相変わらずだねえ」
「えへへ、そう?」
「褒めてない褒めてない」


わらわらと群がる旧友に口元が緩む。懐かしい。わたしはこれが好きだった。


「唯」
「伊助!乱太郎!」
「うっわ!?」
「唯!?」


二人を視界に入れると、堪らず抱き着いた。だってね、この二人は我がクラスの二大癒しなんだよ。癒しと書いておかんとも読む。


「あー…、癒し…」
「あはは、これ久しぶりだね」
「そうだね。いた頃はしょっちゅう喰らってたもんね」
「もう両手に華でございます」


わたしこれでもう十分なんだけど。それにしてもみんな背伸びた。二人に抱き着いたけど、前は肩だったのに今は背伸びしないと届かない。男の子の成長は目まぐるしい。


「お前縮んだんじゃね?」
「いった」


ばしっと頭を叩かれて、誰かと見ると虎若だった。こいつ一番高いな。あれ、何か額赤い。


「………ぷっ」
「わっ、笑うなよっ!」
「だって…。チョークの跡はっきり…」
「うっせ!」


顔を真っ赤にさせてるけど、こいつも中身は変わってないらしい。でも竹谷先輩の影響か、男前になった気がする。言わないけど。竹谷先輩といえば、生物委員会を思い出した。そういえばあいつらとまだ話してない。


「……唯、久しぶりだね」


どこかな、と探していると、突然後ろから声をかけられた。何で気づかなかったんだろう。そして気づきたくなかった。声は鋭さを含んでいたから。


再会


‐‐‐‐‐‐‐‐‐
あいつが幼なじみです。会話してない人の中の誰か。

100215
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