―――ふぅ。とりあえずこれで一安心かな


終わりましたか


一応ね。いやあ、今回は少し骨が折れたね。何せ珍しいタイプの子だ


本来は落乱の世界の人間として生まれる筈だったのに、何の手違いか現実世界に生まれた娘でしたよね


そうそう。まず見つけるのに時間掛かったよねー。見つけてから一回落乱世界に落としたのに、“落乱世界”が“現実世界の彼女”を拒むんだもん。だから帰したら帰したで“現実世界”は“落乱世界”に染まり始めていた彼女を拒み出すし…


随分特殊でしたね。自ら彼女に変装してまで戻すとは、お疲れ様です


んー…。あれは興味があったからだよ。どんな娘なのかと思ったら案外普通の娘で驚いたな。それでも落乱世界には愛されてるのかな、生まれ落ちた瞬間に世界が祝福するなんてさ


“落乱世界”に愛された娘、ですか


正にその通りだね


だからですかね、彼女が忍術学園に行っても受け入れられたのは


そうかもねぇ


でも彼らの記憶を消さなかったのは何故です？あの時は生まれ変わることは想定していなかったのでは？


あぁ…あれね、私は何もしてないよ


え？


予め世界には決まり、秩序を作ってあるんだ。その世界から消えた人間は記憶も存在も消える、ってね


じゃあ…


そ。“世界”がわざわざ残したんだよ。まるで彼女が戻って来るのを想定していたかのようだねぇ


………


ま、魂もこちらに定着させたし、受け入れられてることだし、一件落着だね。とりあえず私の仕事は終わりかな


いえ、まだこちらにも、あちらにも仕事は残っています


…………


神様、貴方が17年間そっちに逃げていたせいで仕事が溜まりに溜まってるんですよ。いい加減処理しないと彼女が何と言うか…


ああああそうか！そろそろ帰ってくるのかあの人！


私も手伝いますから手を動かしてください


部下君…！いい子になったね…！


とばっちりを受けたくないだけです。


辛辣!!!



之にて終幕
(神は知っていた)

終.
101029