ひなたぼっこ | ナノ


▽ 学園長に、どきどき

「入門表にサインお願いしまーす!」
「…………」


食べていいすか。門開けたら満面の笑みの小松田さんがお出迎えとか、最高すぎるだろ…!みんなはこの笑顔に疲れを癒してもらってるんだね、羨ましい…っ!(お前だけだ)さらさらと名前を書くと、初めての方ですねー何てへらりと笑った。鼻血でる。


「……学園長の所に行くぞ」


へらへらと笑い合っていると、豆腐小僧がまたわたしを横抱きにした。ちょ、これ羞恥プレイ!てか流石に歩けるよ、こけるかもだけど。豆腐(略しすぎ)がさっさと歩いた(走った?)お陰ですぐに学園長のいるだろう庵に着いた。着いたのはいいけどさ、早過ぎて他の人に誰にも合わなかったんだけど。


「今からこの学園の学園長に会うからな。いいか?」
「う、はい!」
「ふふ、そんなに緊張しなくていいよ。ただ礼儀正しくな」


豆腐はふわりと笑って、わたしの頭を撫でた(ふふってお前!)。かわいすぐる!てか子供扱いな気がするのはなぜ…?


「失礼します。五年の久々知兵助です」
「うむ、入りなさい」


すらりと襖を開けると、中にいたのはヘムヘムと学園長先生。やべえ生だ。生ヘムヘム萌えだにやける。


「おや久々知、その娘は?」
「はい、林で山賊に襲われていた所を助けたのですが、怪我をしてまして。それに家が無いと言っているので…」


豆腐がちらりとこちらを見た。この先は自分で説明しろということなのだろう。


「はじめまして、渡邉えりかと申します。この度は、山賊から助けていただき、誠にありがとうございます」


こういう時の対応の仕方はよく夢小説読んで学んでるから大丈夫だよね。間違わないように丁寧に言っていく。


「単刀直入に言いますが、わたしは恐らくこの世界の人間ではありません。それに時代も違う所から来ました」


それを言うと、部屋の空気が変わった。一気に警戒のような痛い空気がわたしに刺さる。ここは素直に本当のことを言っておいた方がいいだろう。騙し通せる自信はないし。学園長は少し考えると、静かに口を開いた。


「それは本当か?子供の遊びにしては過ぎているぞ」
「遊びではありません!それにわたしはこの世界の人物を少しながら知っています。大川先生」


他にも山田伝蔵先生や、土井半助先生、五・六年生の一部の名前を上げた。それを言うと、学園長や兵助が目を見開いた。本当に驚いているようだ。


「まさか名乗っていないのに名前を知っているとは…。どこかのスパイ忍者か?」
「違います!わたしは忍者なんかじゃないし、関係は全くありません!どうぞ荷物の中を調べてみてください」
「………うむ、どうやら言っていることは本当のようじゃ」


目を見ればわかる、と言ってにっこりと笑った。わたしはいきなりわけがわからなくて兵助を見たけど、彼もわからないようで首を傾げた。


「失礼します。珍しいものが入っている以外は特に問題はありませんでした」
「ご苦労だった」


静かに襖が開いて、そこに立っていたのはわたしのかばんを持った山本シナ先生。あれ、さっきまでわたしの隣にあったのに…。


「えりか、お前の言うことを信じよう。儂も伊達に長く生きとらんからのう。嘘か本当かなどすぐにわかる。そうじゃ、家が無いならここで働いてはみないか?」
「え、いいんですか!?」
「うむ、ちょうど食堂での助手を探していてな。事務員を兼ねて住み込みでやってはくれないかのう」
「はい!もちろんです!」
「ただし怪しいと思う言動をしたら容赦はしないからな。覚悟しておきなさい」
「は、はい!」


物事はあっという間に進んで、わたしはここで住み込みで働くことになった。なんておいしい展開!(せっかくのシリアスが…)


「先生方には言っておく。部屋の準備が出来次第人を向かわせるから、とりあえず今は医務室に行きなさい」


あ、忘れてた。てかよく触ると大分腫れているのがわかる。これでシリアス演じてたなんて……



心臓に悪いよ
(ヘムヘムの可愛さが)

090330→100621

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