ひなたぼっこ | ナノ


▽ 図書委員会

午後、割り当てられた仕事いつもより早く終わってしまい、ならばと図書室に入った。こちらの字は平がななら何とか読めるが、漢字は殆ど無理に等しい。最近時間が余ると図書室に来て低学年用の辞書等を読むようになった。17にして漢字を勉強するのもおかしな感覚だ。


「えりかさん、今日も来てたんですね」
「雷蔵くん。授業は?」
「今日五年生は午後から自習なんです。だから本を読もうと思って」


雷蔵くんと話していると、かたりと図書室の戸が開いた。入ってきたのは長次くん。おおっと、図書室では静かにしないとね。


「………えりかさん、」
「ん?」
「……もそもそ」
「…ごめん雷蔵くん通訳お願いします」
「はい。『えりかさんは最近よく来るが、辞書以外の本は読まないのか』だそうです」
「他の本か…興味はあるんだけどね」


如何せん読めないから仕方ない。わたしだって本は好きだし、小説は沢山読んだ。でもこちらのはちょっと違う。といっても中々手が出なかったからなんだけど。ふと長次くんは一つの棚を開け、中から紙を取り出してわたしに差し出した。


「……」
「これ、貸出票?」
「『部屋で読みたくなったらこれに書いてくれればいい』とのことです」
「い、いいの!?」
「……ああ」
「ありがとう長次くん!」


これは早く覚えるしかあるまい。それと小松田さんが呼んでいた、と教えてもらったので礼を言ってから図書室を後にした。


日本文学

***
短いし下級生皆無
100823

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -