ひなたぼっこ | ナノ


▽ 大人より純粋

わたしに爆弾を投下した茜さん達は、甘味屋を出るとわたし達と別れた。その後のわたし達はと言うと町を散策中だ。ふと、隣を歩くきり丸くんを見て思い出す。


「きり丸くん、これ」
「?さっきのバイト代っすか?」
「うん。きり丸くん受け取って」
「え!?」


取り出したのは小さな小袋。ちゃり、とわたしの使っていた物より重めな音がした。


「いやいや、これはえりかさんが稼いだ分っすよ!俺ら一人ひとり貰ったんすから!」
「いや、ねえ?わたし町に来ないし、持ってても意味ないかなって。だったら、お金の使い方を知ってる人に持っていて貰った方がいいじゃん?」


本当は学園長に今日頂いた分を返そうと思ったが、せっかくのご厚意だし逆に失礼かと思い止まった。お洒落したいとか着物とかは別段欲しいとは思わないし、お金を所持している意味はない。ならば少しでも、授業料の足しにして欲しいのだ(余計なお世話かもしれないが)。


「……ホント、お人好しですよね」
「あはは、」
「褒めてませんって。…でもやっぱり受け取れません。えりかさんが持っててください」
「どうして?」
「また町に来ましょう。その時に奢ってください」
「…!」


ああ、なんていい子。遠回りだけど優しい気遣いに感謝した。頷けば、絶対ですよと指切りをした。もうかっわいいなあ。



**********



一通り回って、夕飯の支度もあるからそろそろ帰ることになった。帰り道は来た時と同じ状態で、留三郎くんとわたしは一年生の後ろを歩く。


「そうだ、えりかさん」
「ん?」


手を出して、と言われたので素直に手を差し出せば、その上に小さな包み紙を置かれた。開けていいと言われ包みを開くと、淡い青色と白の髪紐だった。小さな玉のような装飾もある(高そう…)。


「えりかさんに似合いそうだと思って、こっそり一年生達と選んだんだ」
「あ、あの時か」


確かに女の子がたくさんいて、こういう髪紐とか簪とか売ってた店に入った。まさか買っていたとは思わなかった。


「…ってこれわたしに!?」
「ああ、今日の記念だと思って受け取ってくれ。尤も、言い出したのは平太だがな」
「あ、ありがとう…!」


どうしようもなく嬉しくなって、前を歩く一年生達に突撃した。特に平太くん。ぎゃあっとか叫ばれたけど気にしない。


「みんなありがとうね!髪紐、大事にする!」


そう言えば一年生達は顔を見合わせてからにっこり笑った。いい大人になるよ君たち。


「さあ帰りましょー!」
「じゃあいつもの歌おうよー」
「よし、せーのっ」


しほーろっぽーはっぽー しゅーりけんっ しほーろっぽーはっぽー やーぶれっ じょーだんまじりでー ういんくなげたらー うちかーえーされたよー ひじてっぽー


大人より純粋

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