ひなたぼっこ | ナノ


▽ プライバシー

「みんなおっはよう!!」


煩いって?そんなの気にしない気にしない。昨夜五年生と六年生に暴露してからなんかすっきりしてしまって元気になった。現金なやつとか言わないでほしい。でも今は保健医の新野先生に出歩くなと言われているので大人しく自室にいるのだけど、暇すぎてしょうがない。ちなみにさっきの挨拶は食堂に出て朝みんなに会った時のための練習だ(痛い)。


「……ひ、暇すぎる…」
「じゃあ僕とどこか行きますか?」
「うわっ!?」


布団に寝転がると同時にどこからか聞こえた声に飛び上がった。咄嗟に手をついたからじくりと痛む。


「駄目ですよえりかさん、寝てないと…」
「さ、三郎…!?」


すたりと軽やかに天井裏から降りてきた三郎は優しくわたしを寝かせてくれた。だけどわたしが名を呼ぶと驚いたように目を見開いた(え、わたし何かした?)。


「…よくわかりましたね、私が三郎だって」
「え?うんわかったね。何で?」
「いえ、私的には雷蔵に変装してきた筈なんですが」
「あ、そういえばそうだね」
「そ…っ」


なぜか落ち込んでしまった。さっきからわたしは三郎に対して悪いことしてしまったみたいでどうすればいいかわからない。慌てていると不意に頭を上げた。心なしかその表情は爽やかだ。


「あははっ!やっぱり貴方は面白い!」
「は?え?」


さっきの沈んだ顔はどこへやら。盛大に笑い出した三郎にわたしは呆けてしまって、それを見た三郎に更に笑われてしまった。ひとしきり笑ったあとにっこりと笑いかけてきた(きゅん)。イケメンの笑顔ってホントに罪だと思う。


「実はまだ信じられない部分もあって、それを確認しに来たんですが…。もういいです」
「三郎?」
「私もまだまだですね。変装をこうも簡単に見破られるなんて。何で毎回わかるんです?」
「え、何でって…。オーラ…?」


そう言うとまた爆笑された。さすがに笑いすぎじゃないか(何が何だかわかんないし)。だって自分でも何で三郎と雷蔵くんの違いがわかるのかはっきりとはわからないし、本当に何となくわかるのだ。


「えりかさん、朝飯まだでしょ?」
「え、うん」
「もう少ししたら兵助が持ってきますよ」
「兵助くんが?そんなわざわざ…」
「いいんですよ。あいつ自ら買って出てるんですから」


おっとそろそろ行きますね、何て言ってからさっさと来たときと同じように天井裏から帰っていった。さすが忍者の卵、だけどわたしのプライバシーもあったもんじゃない。そのあと三郎が言った通り兵助くんが朝食を持ってきてくれたので、先程の話をすると「三郎覚えてろよ」と呟いたのが聞こえた。関わらない方が身のためらしい。


プライバシー
(諦めた方が得策らしい)

100621

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