ひなたぼっこ | ナノ


▽ 真実を、

「いいのか、俺達に話しても」
「うん。むしろ話させて。もう隠したくないから」
「そうか…。なら、そこに隠れているやつらにも聞いてもらわねばなるまい」
「え…?」


仙ちゃんが天井に向かってそう言うと、少しの間をあけてからかたりと天井の板が外れた。そしてそこから降ってきたのは四つの紺色だった。


「お前ら、盗み聞きとはいい度胸だな」
「偶然天井にいたわけではないだろう。何をしに来た」
「……」
「えりかさんの様子を見に来たんですが中々出るに出られない状態だったので」
「すみませんでした!」


三郎が説明すると他の三人が口々に謝罪の言葉を言った。どうやら悪気があったわけではないらしい。どうする、と留三郎くんに言われたのでわたしは頷いた。


「元々五年生にも話しておこうと思ってたから気にしないで」
「……はい」



**********************


わたしが来た経緯、元いた世界や時代のことを説明すると、兵助くん以外は信じられないといった顔だった。当たり前の反応だったので構わないが、そのあと何を言われるのかわからなくて少し身構える。すると、みんなは批判するわけではなくただ呆然としているだけだったので、棚に隠しておいた鞄を取り出し中身を見せた。


「これって確か前に会計委員会を手伝ってもらったときに…」
「ああ電卓ね(今思えばあの時ナチュラルに使ってたんだよね。わたしホント馬鹿…)」
「見ないものばかりだな…」


ボールペンや携帯電話を見つめながらみんなはやはり戸惑っていた。わたしも隠すものはなくなったので回答を待っていると、兵助くんが突然口を開いた。


「……何で、迷ってるんですか」
「久々知…?」
「えりかさんは、全て言ってくれたんです。これは本当だと俺は知ってます。変に思われることを承知でこの人数の前で言うのにも勇気がいるでしょう!なのに、俺達がそれに答えられなくてどうするんですか!!」
「へ、兵助落ち着け…」
「あ…すみません…」


兵助くんははっと我に帰り慌てて座った。わたしも驚いたけどそれ以上にみんなの方が衝撃を受けたような顔をしている。


「久々知の言う通りだね」
「伊作くん…?」
「えりかさんの気持ちに答えなくてどうするんだ。私は信じます」
「…すまなかった。俺も信じる」
「私も信じよう」
「俺も信じるぞ!」


伊作くんを始めにその場にいた全員が頷いてくれた。彼らが純粋に信じてくれる事実が嬉しくて涙が零れる。今日は泣いてばかりな気もするが、それ程嬉しいことが続いているのだから仕方ない。わたしは果報者だ。


「本当に、ありがとう…!これからもよろしくね…っ」


頭を下げると、次々に撫でられて頭が揺れた。認められたのだという実感に涙が止まらなかった。


真実を、
(感謝しかできないくらい)


100610

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