ひなたぼっこ | ナノ


▽ 勧誘

ドクたま達と仲良くなり、楽しくおしゃべりしながらの料理となった。ドクたま達も慣れたのか、拙いながらもちゃんと手伝ってくれている。それにいろいろ教えてもらった。ふぶ鬼くんは塾に通いたいとか、しぶ鬼の父親の達魔鬼が最近泳げなくなったとか。共通する話題は乱太郎くん達。なんだかんだ言って仲良しなんだ。


「えりかさんって忍術学園の事務員何ですか?」
「そうだよ。お手伝いでもあるけど」
「でも忍術学園にはもう一人事務員いますよね」
「だったら大丈夫だよね」
「だよな!」
「ねえお願いしてみましょうよ!」
「……?」


何故だか勝手に盛り上がってる可愛いドクたま達。なんだか乱太郎くんきり丸くんしんべヱくんを思い出す。そういえば今まで忘れてたけど学園ではどうなってるのかな。わたしがいないのに気づいたかな。昼食の準備中に拉致られたんだった。おばちゃんに悪いことしたな。ていうか間者とか疑われたりしてないよね…。急にいなくなったから怪しまれてそう。あ、元々怪しまれてたんだった。


「えりかさん!」
「うわっはい!?」


ぼうっとしてたらいきなり名前を呼ばれて手が滑りそうになった。危ない危ない。


「えりかさん、ドクタケの事務員になってください!」
「…………はあっ!?」
「忍術学園には食堂のおばちゃんがいるし」
「ね、ドクタケの食堂のお姉さんになって!」


し、食堂のお姉さん…!いい響きに心がぐらりと揺らいだ。でもわたしは忍術学園にお世話になっている身、ましてや敵であるドクタケに寝返るような行為は恩を仇で返すようなものだ。たとえ怪しまれていようと、そこだけは曲げてはいけない。


「ごめんね。それはできないよ」
「何で?仕事だから?」
「それもあるけど、忍術学園にはお世話になってるの。だからその分働かなきゃ!」
「…そうですか…」


ドクたま達はしゅん、とうなだれてしまった。可愛い。ぎゅってしたい(我慢しろ堪えるんだえりか!)。こう言われるまで気を許してもらえるのは純粋に嬉しい。でもね、もし忍術学園で“要らない”と言われたら、ここに来てもいいですか。最悪なわたしでも受け入れてくれますか。


「あの南蛮料理みたいなの美味しかったからもっと食べたかったのにな…」
「ねー」
「…………しぶ鬼くん、いぶ鬼くん、今何て言った?」
「え…」
「つまみ食いでもしたのかな?んん?」
「ひ…っ!えりかさんこわ…!」
「で?」
「「すみませんでしたあああ!!!!」」


ま、それより今どうするか考えよう。料理は完成したから、みんなにもわけてあげよう。


勧誘


(せっかくみんなで食べようと思って作ったのがあるんだけどなー)
(うああごめんなさい!!!!)
(もうしません!!!!)
(あれ、ふぶ鬼くんと山ぶ鬼ちゃんもつまみ食いしてたの?)
(はい…)
(ふふ、実はそんなに怒ってないよ。さあ椅子持っておいで。食べよう)
((((わーい!!))))


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緊張感まるでない。
100312

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