ひなたぼっこ | ナノ


▽ 料理開始

連れて来られた先は台所、というより厨房。材料も調理器具も沢山あって、たぶん学園のものより広い。でも使われている形跡は少なくて不思議に思った。


「ここに包丁ね。材料が足りなくなったらそこを出てすぐにあるわ」
「あ、はい」
「まったく、ごめんなさいねえ。うちの殿の我が儘で面倒なことを…」
「い、いいえ!料理を作るのは慣れてますし、わたしが言い出したというのもありますから」


最後までやりますよ、と言うと黒戸カゲ先生はにっこりと微笑んだ。何でも、料理をする人がいなくなってしまい、黒戸カゲ先生が代わりに作っていたらしいのだ。ちょうど用事もあるらしいので抜けるという。


「ついでと言っちゃあ何だけど、よかったらもう一つ面倒事を頼まれてくれないかしら」
「何ですか?」
「うちのドクたまに料理を教えてもらいたいの」
「ドクたまに?」
「授業の一環としてね。私じゃ手に負えなくて。だから食堂のお手伝いさんに頼みたいのよ」
「ドクたま…」


まさかこんな形で出会えるなんて!関わらないんだろうと思ってたから純粋に嬉しかったりする。でもこんな部外者に任せて大丈夫なのだろうか(自分で言うのもあれだけど)。すると黒戸先生は察したようで、またにっこりと笑顔を向けた。


「忍術学園に卑怯なことする人はいないって信じてるわ。ましてやあの食堂のおばちゃんのお手伝いさんでしょう?優しい目をしてる」
「……あっ、ありがとうございます」


なんだかわかんないけど恥ずかしくなって目を背けた。なんだかんだ言って仲良いんだよな。じゃあよろしくね、と言って黒戸先生は出て行った。そろそろ取り掛かろうと腕を捲った時、扉が叩かれた。ひょこりと顔を出したのはドクたま達。


「入っておいで」
「し、失礼します」


そんな緊張することないのに。そろそろと入ってきた四人に頬が緩む。


「初めまして。忍術学園の渡邉えりかです。よろしくね」
「しぶ鬼です!」
「いぶ鬼です!」
「ふぶ鬼です!」
「山ぶ鬼でーす!」
「「「「今日はよろしくお願いします!!」」」」
「こちらこそ」


手を挙げながら元気に自己紹介するドクたまを見て顔面崩壊した。大丈夫すぐ直したから。じゃあ早速始めますか!


料理開始

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