ひなたぼっこ | ナノ


▽ 暗転

朝早く起きたわたしは早速朝食の準備に取り掛かった。でも食堂に行くと既におばちゃんがいたので悔しかった(何時に起きてるの)。安藤先生が言っていたことは気にしないことにする。だってわたし気づいたの。これほのぼのギャグハー連載じゃんってことに。ギャグにシリアスはいらないよね。正直まだ少しテンション低いけど、そんな所子供達に見せられない。ネガティブだけど切り換える(開き直る)のが早いのがわたしの取り柄だったりする。


「えりかちゃん、本当にもう大丈夫なの?無理しなくていいのよ?」
「ありがとうございます。一晩寝たら全快しましたから!」


ふん!と腕まくり。食堂のおばちゃんはならいいんだけど、とまだ納得いかないようで、逆にわたしが苦笑した。ここまで心配してくれるから少し罪悪感。本当はどこも悪くなかったんだけど(気持ち的に最悪だったけど)。食堂に来た皆にも大丈夫ですか、なんて声をかけてもらった。嬉しいけどわたしの良心がぼろぼろだ。朝食も終わり、食堂から人がいなくなったら次の作業。昼食の準備だ。準備と言っても必要な材料の確認だけだったりする。足りなかったら倉庫から取り出すことになっている。


「あら、大根が少ないわね」
「あ、わたし取ってきます」


生徒+先生方だからかなりの量が必要になる。余らないように作らねばならなかった。だからたいてい倉庫から少しずつ取り出すことになっている。食堂のおばちゃんから倉庫の鍵を借りて大根を探す。入ってすぐにあったから助かった。数本持って食堂に向かう。きちんと鍵も閉めた。ここまではよかった。


「今だっ!」
「え、」


誰かに羽交い締めにされ、口と手を塞がれた。ぼとぼとと大根が足元に落ちる(ああっ痛んじゃう!)。声を出す暇もなく袋のようなものを被せられる。何が起きたのかわからなくて、混乱しながら暴れる。


「んーっ、んー!」
「うるさいっ!暴れるなっ」


がつん、という鈍い痛みと共にわたしの意識はそこで途切れた。


暗転
(成す術もなく堕ちた)


100221

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