ひなたぼっこ | ナノ


▽ 認めて

土井先生の部屋で数刻ばかり(うわ、言い慣れない!)昼寝したあと、いつも通り夕飯の支度をする。この量の多さにもいい加減慣れた。おばちゃんの声にも。


「「お残しは許しまへんでー!!」」


今では一緒に言ってます。最初は躊躇いあったけど、慣れって恐い。でもみんなのいただきますの言葉と笑顔があるから、そんなのどうでもよくなる。もっと頑張ろう、という気持ちになる。


「今晩は、えりかさん」
「土井先生!こんばんは、お帰りなさい!」


忍たま達の姿も疎らになってきた頃、土井先生が食堂に顔を出した。今帰ってきたのか、心なしか疲れて見える。


「A定食貰えるかい?」
「はい、少し待っててくださいね」


急いで皿に料理を盛りつける。おばちゃんはご飯を大量に盛っていた(山盛り…)。持ってってあげな、と言われたのでおぼんを土井先生の机まで持って行く。


「どうぞ」
「ああ、わざわざすまないね」
「いいえ。今まで外だったんですか?」
「そうだね。以外と長引いてしまって」
「お疲れ様です」


何をしてきたかは聞かない。聞かない方がいい気がした。そういえば、と土井先生が箸を止めた。

「学園長先生が呼んでいたよ。食事が終わったら来るように、って」
「え、本当ですか!?じゃあ行ってきます!」
「そんなに急がなくてもいいと思うぞ?」
「いいえっ!もう食べ終わりましたし」


おばちゃんに理由を言ってわたしは食堂を出た。あれ、さっき心なしか土井先生が哀しい顔をした気がする。


********************


「学園長先生、えりかです」
「おお来たか。入りなさい」
「失礼します」


戸を引いて中に入ると、学園長先生とヘムヘムと山本シナ先生がいた。座るように促されたのでおとなしく従う。


「うむ、急かして悪かったな」
「いえ、大丈夫です」
「早速だが、えりか」


学園長先生が立ち上がり、背を向ける。わたしはそのまま話の続きを待つ。この沈黙は、嫌い。


「学園での生活は慣れたかな?」
「あ、はい。みんなよくしてくれるので」
「うむ、それはよかった。ではえりか、改めて事務員として迎えよう」


え、それって…。


「ずっとここにいてもいいんですか…?」
「もちろんじゃ!生徒達もお前さんに懐いとるし先生方も認めているからな」
「、っありがとうございます!」


がばっと頭を下げた。よかった、追い出されなくて。ここ以外にわたしの居場所はないから。いついなくなるかわからないわたしを受け入れてくれてありがとう。


「下がっていいぞ。これからも精進するように」
「はいっ!」


認めて

091004→100120

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