ひなたぼっこ | ナノ


▽ 丸が少ないよ

食事も終わり、事務室に向かう途中で大量のプリントを抱えた土井先生と遭遇した。どうやら相当焦っている模様。


「土井先生、そんなに急いでどうしたんですか?」
「ああっ、えりかさんいいところに!」


え、いいところって何?何か嫌な予感がしてならないんだけど。土井先生はすごく申し訳なさそうな顔をしながら大量の紙をこちらに差し出した。


「あの…私これから私用で出かけなくてはならなくて、山田先生も実技の授業中で遅くなるんだ」


それで、と見せられたのは一年は組のテスト用紙らしい。つまりこれの丸付けをしろ…と?ちらりと上を見るとわたしの考えていることがわかったのか、当たったのか更に申し訳なさそうな顔をした(きゅん!)。そんなかわいい顔されたら断れないじゃんか!


「いいですよ、このあと用事が入ってるわけじゃないので」
「本当かい!?助かるよ!」


お、おぉぉお!素敵スマイル全開でいらっしゃる…!大量のテスト用紙(何でこんなにたくさん?)を受け取ってから土井先生は急いで出ていった。それはもうものすごい速さで(ビビった)。


********************


わたしの部屋に筆はないので土井先生のを拝借する。ちなみに上から二番目の紙には「私の部屋を使ってください」と書いてあった(いつ書いたの)。有り難く部屋も借りて採点をしてるのだけど、


「…………逆にどうすればこんな点数とれるの」


びっくりというか流石に呆れてしまうよ、一年は組のみんな。庄左ヱ門くんが一番点数をとってくれてるけど全員の合計点が100点ってどういうことだ。土井先生の気持ちがわかった気がする(ご愁傷様です)。とりあえず採点できる算数みたいなのや国語みたいな教科はできたけど、忍法とかはわからないから避けておく。残りの採点が終わる頃にはすでに日が傾いていた。


「おわたー!疲れたー!」


なるべく多く点数をあげたくて見直してたらかなり時間が掛かってしまった。久々の机作業に肩が痛い。やべ、何か眠くなってきた。まだ夕飯の支度まで少し時間はあるよね?よし!土井先生の香りに包まれながらちょいと仮眠を取らせていただこう!丸付けの終わったテスト用紙を脇に避けて机に俯せる。授業中居眠りの常習犯だったわたしはどんな格好でも寝れるよ!



丸が少ないよ
(いや、経験したことあるんだけどね)


090729→100120

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