ひなたぼっこ | ナノ


▽ 夕焼けこやけで

わたしは今、小平太くんの背中の上、つまり背負ってもらっている状態。なぜかと言うと前回の続きで体育委員会(委員長限定)に拉致られ、樽担ぎにされ酔ってしまったから。小平太くんはわたしに気遣ってかゆっくりとした歩幅で歩いている。滝夜叉丸くん達は次屋くんを追って行ったきり見てない(無自覚な方向音痴って怖いわ…)。小平太くんに言ったら「細かいことは気にするな!」で済まされた(全然細かくないし)。


「えりか、大丈夫か?」
「ん、まぁ大丈夫かな」
「すまないな。あと少しだから我慢してくれ」
「?うん」


一体どこに行くつもりなんだろう。さっきからずっと斜面を登ってる気がする。森の奥を見ていると暗くて不気味で、怖くなって目をつぶった。


「……よし!えりか、着いたぞ!」
「………え?」


そう言われて目を開くと、そこにはさっきまでの深緑はなく、綺麗な夕焼けが広がっていた。澄んだ空は茜色に染まり、大きな太陽は山に沈もうとしている。わたしが住んでいた世界では、滅多に見ることができないだろうと思われる景色。


「どうだ?えりか、学園に来てから外に出てなかっただろ?」


ここの景色は最高だからな、と小平太くんは太陽のようにはにかんだ。不器用な優しさが胸に染みた。わたしは嬉しくて微笑み返した。



また明日
(がんばれる気がする)




(七松せんぱ…、えりかさん…)
(うわぁっ!滝夜叉丸くん大丈夫!?)
(次屋を捕まえるのに手間取りました…)バタッ
(ああっ!下級生が倒れたっ!)
(はっはっは!さぁ学園まで走って帰るぞ!いけいけどんどーん!!)
(ちょ、小平太ぁぁああ)


前言撤回、かも

090609→100120

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