ひなたぼっこ | ナノ


▽ 用具委員会

「失礼しまーす…って食満くんだけ?」
「こんちはー。まだ来てないんすよ。もう少ししたら来ると思うんで入ってください」
「はーい」


今わたしは用具室に来ています。理由はここの手伝いを任されたから。中に入ると比較的整頓された棚が広がっていた(あんな上まで届かないよ…)。既に委員長の食満くんがいてさっきから机で書類をぺらぺらとめくっている。わたしはその隣に邪魔にならない程度に座る。


「食満くん、わたし何すればいい?」
「そうですね、とりあえずこの書類に書いてる物を点検してもらっていいですか?」
「あいあいさー!」


さっそく食満くんに手渡されたプリントに沿って棚を見ていく。手裏剣や苦無等の忍者が使う道具がたくさん入っていて、それの個数を調べてチェックする、というものらしい。食満くんも違う棚で始めたようだ。改めて本物を見たら、やっぱり皆忍者のたまごなんだって実感する。わたしはこのまま帰れないのかな…。そんなことを考えながら作業していると、遅れて喜三太くんとしんべヱくんが来て挨拶してくれた(ホントに下級生は和むよ…)。そのあとも平太くんや作兵衛くんも来た。何でここの委員会は下級生ばっかりなんだ。みんなでもくもくとやったおかげか、案外早く終わってしまった。


「お疲れ様でしたー。お茶とお菓子持って来たよ」
「「わーい!」」


持って来たお茶を用具室内の座れる畳の上に並べる。おばちゃんにもらった羊羹が残っててよかった。食満くんが安藤先生に呼ばれて出て行った頃、皆でゆっくり話しながら食べていたら不意に眠気に襲われて欠伸をした。すると平太くんもつられたのか、同じように欠伸をした。わたしの視線に気づいたのか、顔を赤くさせて俯いてしまったけど(かわゆいな)。


「平太くん、眠い?」
「え、いや…その…っ」
「おいで」


指したのはわたしの膝の上。平太くん含めその場にいたみんなは驚いた顔をした。最初はおどおどしながら拒否していた平太くんだけど、本当に眠いみたいで遠慮しながら近づいてきた。それを抱き抱えて膝の上に乗せる(軽っ!)。みんなは呆然。


「平太いいなぁ。えりかさん僕も!」
「あ、喜三太ずるい!僕もー!」
「え、わっ」


飛びついてきた喜三太くんとしんべヱくん。ショタ好きにはたまらんな!!すると作兵衛くんがようやく覚醒したみたいで、「えりかさんの迷惑になるだろ!」と焦りながら言ってくれたから、大丈夫と言って落ち着かせた。わたしに抱き着いている三人は既に寝息を立て始めていて、離してくれる様子はない。


「作兵衛くんも来る?」
「え!?いやそんな…」
「遠慮しなくてもいいんだよ。おいで?」
「………」


すると作兵衛くんは遠慮がちに左隣りに座った。来てくれたのが嬉しくて、頭を撫でてあげると静かに目を閉じた。作兵衛くんも疲れていたのか目を閉じて肩に頭を乗せている(鼻血モンだよ)。わたしもそれに満足して、我慢していた睡魔に勝てずに眠りに落ちた。



**********************



安藤先生に呼ばれて、壊れた天井を直して用具室に戻ってくると、何とも言えない光景だった。えりかさんを中心に眠っていたからだ。こんなにリラックスして寝るほど疲れていたのか。近くに寄ると、えりかさんと喜三太がほぼ同時に目を覚ました。


「ん…、食満くん…?」
「せんぱい…?」
「すみません、起こしちゃいましたか」


喜三太を抱き上げて膝の上に乗せ、俺はえりかさんの隣に腰掛けた。えりかさんは大丈夫、と言いながら眠そうに目を擦っている。俺は何となく、頭を撫でてみた。するとくすぐったそうに目を細めた。その姿はとても年上には見えない。


「なんか食満くん、お父さんみたい」
「え、俺がですか…?」
「うん。なんか親子みたいだよね」
「……じゃあえりかさんは母親ですね」


そう言うと、彼女はキョトンと目を丸くした。あれだ、こういう仕草はかわいい、と思う。


「わたしお母さんかー。食満くんがお父さんならいいかもね」
「……え?」


何を言うのか、ともう一度聞こうとするが、既にえりかさんは静かに寝息を立てていた。どういう意味なのかは聞けなかったが、自分なりに解釈して俺も肩の力を抜いて目を閉じた。


とあるお昼過ぎに
(小平太乱入まであと少し)


090515→100120

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -