ひなたぼっこ | ナノ


▽ 急な思いつき

「んむ…、仙ちゃんの誘い受け萌えるふふ…」
えりか!
「ぶわっはい!?」


おはようございます、渡邉えりかです。昨日はあれから情けなくボロ泣きしてそのまま寝てしまったみたい。部屋の布団にいるってことは仙ちゃんが運んでくれたのかな(申し訳ない…)。それより今大声で戸を開け放ったのは小平太。一応女の子の部屋にノックもせずに入るなんて…。着替えてなくてよかった。


「おはよう、小平太くん…。どうしたの?」
「朝会が始まるぞ!今すぐ準備しろ!」
「朝会?でもわたし事務員だし出席しなくてもいいんじゃ…(第一聞いてないし)」
「でもえりかの紹介を改めてする会でもあるらしいぞ?」
「はぁっ!?」


聞いてないよ学園長!これがあの“急な思い付き”…だっけか?まさか2日目にて迷惑受けるとは思ってもみなかったよ!とりあえず小平太を追い出して、自分でも驚くほどの早さで昨日と同じ着物に着替える。わたしが部屋から出ると直ぐさま小平太に担がれた(なぜ!?)。


「いけいけどんどーん!」
「え、ちょっ…降ろせぇぇええっ!!」



*********************



「おはよう、えりかくん」
「おはようえりかさん…って大丈夫かい?」
「おはようございます山田先生、土井先生…。なんとか…」


風のようなスピードでグラウンドまで突っ走ったこへは、わたしを降ろしたあとぎゅーっと抱き着いてから(なぜ?)列に入って行った。わたしといえば若干酔ってしまったらしく気持ち悪い。ふらつきながら先生達の元へ行くと、山田先生と土井先生が気づいて挨拶してくれた。山田先生ってダンディーだよね。こういうおじ様も大好物です。幅広いんだよねーわたし。


「それにしても急ですね。わたし何も聞いてませんよ」
「実は私達も朝早くに聞いたんだ。学園長先生の急な思い付きにはほとほと困る…」
「…お疲れ様です」


二人は苦笑をこぼしてから学園長先生の方を向いた。いつの間にか壇上で話は進んでいたらしい。


「それではえりか、上がってきなさい」


うわお!いきなり過ぎるぞ学園長!先生二人を見ると苦笑混じりで「行ってきなさい」と静かに言われた。うぅ…人前に立つのは苦手なんだよ、チキンだから…。壇上に立つと、わたしに一斉に集中する視線。心臓は爆発寸前(死にそうです)。わたしは勇気を出して声を絞り出した。


「改めて、渡邉えりかです。事務員兼食堂のお手伝いとしてここに置かせていただくことになりました。普段は食堂にいると思うので、気軽に話し掛けてくださいね!これからよろしくお願いします!」


簡単な自己紹介を改めて皆の前で言った。皆から拍手と笑顔をもらえたので、少し安心した。


「うむ。では質問はあるかの?」
「はーい!」
「きり丸、言ってみなさい」


元気よく手を挙げたのは一はのきり丸くん。てか小学生まできり丸くんが忍た.まの主人公だと思ってたよ。経験ない?


「えりかさんは何でくの一じゃなくて事務員なんですか?」
「あー…それはだってわたし17歳だし、忍者になるつもりはないから…」


そうわたしが答えた瞬間、まるで時間が止まったかのようにぴたりと皆が固まった。……悲しいことにこのあとが容易に想像できるよ…



嘘だっ!!!
(……わかってましたよ)


(17歳!?)
(見えない…)
(あははーいやもう慣れましたいいですよー)


(((まさか年上だったなんて…)))



知らなかった人達の心の声

090414→100120

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