ひなたぼっこ | ナノ


▽ 会計委員会

食堂から先生方も含めてみんなが帰ってから、おばちゃんと二人で後片付け。それが終わったらおばちゃんがわたしの分のご飯を用意してくれて、思わず抱き着いてしまった(まるでお母さんじゃ…)。遅いご飯もおいしくいただいてからおにぎりを大量に握って(多めに炊いといてよかったよ)、兵助くんに教えてもらった部屋に向かう。



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たしかにこの部屋でいいんだよね?一応喜八郎くんにも案内してもらったし。ある一室の前で戸を開けるのを躊躇っていると、前触れもなく開いた。そこにいたのは目の下の隈が酷いもんじ…じゃなくってオッサン。


「おい何で今合ってたのに言い直した」
「あり、声に出てた?」
「ばっちりな」
「 マ ジ か !」


びっくりだよ、チキンがまさかそんな!


「それよりお前、何しに来た」
「あ、忘れるとこだった。はい、差し入れだよ」


すんごい警戒している文次郎に手元のおにぎりを見せる。そういえば文次郎は学園の外から来た人間には厳しいんだっけか?そりゃ警戒されて当然だ。漸く文次郎はわたしの手元に気づいたらしく、躊躇いながら中に入れてくれた。夜も遅いからか、既に脱落している者が数名(特に下級生)。少し涼しい風が入ったことによって目が覚めたのか、みんな目を擦りながら起きてしまった。


「お前ら、えりかさんが差し入れを持って来てくれたぞ!それ食べたら再開するからな!」


それを聞いたみんなは勢いよく手元のおにぎりに飛び付いた(鬼の形相ってああいうことなんだね…)。ありがとうございます!なんて言いながらみんな一気に食べていく。どんだけ凄まじいかは表現できないくらいだよ…。


「その…、すまなかった」
「何が?」
「飯を持って来させてしまったのにあんな態度…」
「え、気にしないで!わたしがしたくて勝手にしただけだからさ!」


少し気まずそうに下を向く文次郎くん。どうやらまだわたしに対しての警戒は解けていなかったらしい。


「それにしても凄い量だね。これ全部今日中にやるの?」
「あ、あぁ。予算会議が近いからな。それに向けて早く終わらせておかなければならないんだ」
「へぇー…」


そこでピンっと思い付いた。


「わたしも手伝うよ」
「はぁ!?何言ってるんだお前!そんなこと…」
「大丈夫、算盤はできないけど電卓は持って来てるから」


なぜか荷物の中に入っていた電卓。まぁよく使ってたから助かるんだけどね。


「あと名前ね」
「名前…?」
「そ!下の名前で呼んで。呼び捨てで構わないからさ」


すると文次郎くんはうっ、と詰まってから小さく「………えりか」と呟いた。か…かわゆ…っ(鼻血出る)!


「……じゃあ俺も呼び捨てでいい」
「!…文次郎」
「…何だ」
「呼んだだけー!」
「おま…っ」
「「「ストップ!」」」


いきなりかかったストップにわたし達二人はびっくりした。振り向くと会計委員達が揃って睨み付けてきた(何かした!?)。


「潮江先輩、目の前でえりかさんといちゃつかないでください!」
「何恋人みたいなことしてんですか」
「んな…っ!?」


あらあらまあまあ!たしかに今までの会話振り返ったらどこぞのバカップルだよ。いたって冷静なわたしと反対に、顔を真っ赤にさせて必死に反論する文次郎を見てニヤけた(初々しいな)。


「ていうか潮江先輩とえりかさんって、」



親子みたいですね
(ピシッ)


((左門――っ!!))
(親子…)
(親子、ね…)


身長差と顔が相俟って。

090408→100120

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