ブランドー家

「おい、まだか」
「ちょっと待ってよ。ていうか手伝ってよ」
「フンッ、何故このDIOが飯など作らねばならんのだ」
「じゃあ黙って座って待ってなさいよ」


前にもあったかもしれないが、この通りまたDIOに呼ばれブランドー家の夕飯作りである。たしか変態っぽい格好をした部下?だかお手伝いさんだったかがいた筈なのに何で今日はいないんだ。ていうか何でわたしが作るのが当たり前になってるんだ。


「洸、なす切ったぞ」
「ん、じゃあ炒めるよー。フライパンに入れてー」


予め炒めていた玉ねぎと挽き肉の中に、ディエゴが切ってくれた粗っぽいなすをいれ、再び炒める。その間にディエゴにはまな板等を洗ってもらう。ディエゴはわたしが料理を作りに来ると必ず手伝ってくれる。どこぞの長男とは大違いだ。その長男はわたし達の後ろで何もせずにニヤニヤしている。


「快いぞ快いぞー」
「それジョセフの中の人だからね、アウトだからね」


具材を全て入れてディエゴと交代する。あとは焦がさないように混ぜながら弱火で煮るだけ。前まで高さが足りず椅子の上に乗っていたが、最近は背も伸びてきて少し背伸びするだけで届くようになった。まだ歩けなかった頃から知っているわたしにとっては弟のようで息子を見るような心境に、少し涙腺が緩んだ。歳かな…。


「まだか?」
「もうちょっとだね。塩足そうか」
「ん」


2人で味見をしながら進めていく。さっきからチラチラと視界に入るディオは無視して、満足のいく仕上がりになった今日の夕飯を皿に盛り付ける。


「はい完成ー!ディオ、手伝って」
「!な、なぜこのディオが手伝わなければならな、」
「はいはい。お腹空いたから早くねお兄ちゃん」
「おに…ッ」
「洸、私のことはお兄ちゃんとは呼んでくれんのか?」
「DIOはお兄ちゃんというよりお父さんでしょ」
「WRYYY…」


2人を適当にあしらい、ディエゴと共にテーブルに皿を並べる。我が家の定番である、野菜カレーだ。


「お腹すいた」
「ね。ほら2人共、早く食べよう」


固まってるディオと顔が黒くなってるDIOに声をかけ、席に腰掛ける。ちなみに椅子は5個。ジョルノはジョースター家に家出中でいないしこの家に両親はいないので必然的にこの席はわたしのということになる。ちなみににジョルノの母親も他界していていないのである。この家族は複雑だ。


「美味しい?」
「ああ、うまい!」
「それはよかった」


素直に感想を言ってくれるディエゴの頭を撫でると、照れながらも振りほどきはしなかった。ああ何で天使がこんなにいっぱいいるんだろう。本当にDIOの弟なんだろうか。


「ふん、相変わらずの味だな」
「文句言う奴は食べなくてよろしい」
「文句ではないだろう!変わらない味だと言っている!」
「つまりいつも通り美味いと言っているわけだな」
「DIO!!」


はいはいツンデレありがとう。もう慣れたものだ。同い年なのに何年経ってもこういう所は子供っぽくて可愛かったりする。無言でおかわりをねだる姿は大きな弟のよう。


「洸が母さんならいいのに」


ディエゴがぽろりと零した言葉にディオが真顔でスプーンを落とした。わたしもちょっと驚いて彼を見ると、至極純粋にわたしの方を見ていた。どうやら本心らしい。


「うーん、ディエゴが子供だったらわたしも幸せだな」
「ホント?」
「本当だよ。お母さんにはなれないけどね」
「姉にはなれるがな」
「え!?」
「DIO!?」


今度はDIOの言葉に驚いた。でもわたし以上に驚いたらしいディオが彼に食ってかかった。


「そ、それはどういう…」
「そのままの意味だろう。私と結婚すれば義姉になる。金も入るしこの家に住める。いいこと尽くめだろう」
「あ、ぐ…ッ!だが俺は認めない…ッ」
「ほう、なら力尽くで止めてみるか?」
「望むところだ!!」
「洸、おかわりー」
「はいはい待っててね」


何故か戦い始めた兄2人を意にも介さずお代わりを求める末っ子に、わたしも同じように自然に答える。今日もブランドー家は平和です。



140922

なんかややこしいですがDIOの奥さんはジョースター家の人で故人。母親は男作って出てったと思ったら父親の子供(ディエゴ)授かってて、育てられないからってDIOの元に送ってきました。父親はその後他界。母親は消息不明。なので兄弟歳離れてます。ブランドー家の母親酷い人にしてしまってすみませんでした…。
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