酒は飲んでも呑まれるな

宅飲みしよう!と言い出したのは誰だったか、確かジョセフだった気がする。明日は祝日でわたしも仕事は休みだし予定も特にない。ジョナサンもたまにはいいかと了承すると、ジョセフは嬉々として電話をし出した。どうやら他にも人を呼ぶらしい。どうせシーザーくんだろうけど。


「じゃあ僕はディオを誘ってみようかな」


そう言った時のジョセフと承太郎の顔はシンクロしていた。DIO程じゃないが2人はディオも苦手らしい。



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何だかんだでディオとシーザーくんと花京院くん、そしてDIOが集まった。花京院くんと承太郎は未成年だが、承太郎が呼んだらなんと来てしまった。電話でほぼ脅しみたいなことしてたからわたしは花京院くんに同情するよ。DIOはディオが行くと言ったらついて来たらしい。その時のジョセフと承太郎の以下略。





さて、飲み始めてから2時間経った頃、各々で酔い方が目立って来た。面白いことになっているので見てみよう。

<パターン1・ジョナサン>


「ジョナサン、ジョナサーン」
「ううん…」


ジョナサンは初めはいいのだ。ゆっくり飲み始め、とりあえずビールからワインを飲む。ワインを3杯ほど飲んだ所で急にごろんと倒れるように寝る。そして朝まで起きない。


「寝るなら自分の部屋で寝なよ。ジョナサンを連れて行ける人なんていないからね!」
「ううん…エリナ…むにゃむにゃ」


ダメだこりゃ。体重105キロとかわたしのほぼ3倍かよ。あ、わたしの体重は鯖読んでないよ?決してそんなことないよ?

とにかく、ジョナサンは強くない。ペースはゆっくりなのに負けやすくてすぐ寝てしまう。そしてディオと一緒に必死に連れ帰るのが通常である。


<パターン2・DIO>

彼は普段そこまで酔わない。強い方ではあると思う。しかし今日はやたらペースも早く量も多かったせいか、稀にみる酔っ払いと化していた。


「最高にハイッ!ってやつだァァァァァァァァ!!ジョジョォォォォォォォ!!!」


ガバァッと上着を脱ぎ捨て高笑いを始めた。いい筋肉してますねはいはい。老若男女が吃驚するくらい美形な彼だけど歳はジョルノの父親なだけにおじさんな筈だ。おっさんが若造の名前を叫びながら酒を飲んでいる光景は異様だが、前にも見たことがあるのでスルーする。服を脱いでHIになる、DIOおじさん。


<パターン3・シーザー>

「洸さん、あの、助けてください…」
「花京院くん。大丈夫?」
「あの…」
「う、ぐすっ」


お酒の飲めない花京院くんはとりあえずお酌やしながら回っていたらしい。でもここに来て酔っ払いに酷く絡まれ困惑していた。


「ううぅ…ジョジョォ…」
「で、どうしたのこの人は」
「うわあああんジョジョォォォォォォォ」


どうやら彼、シーザーは泣き上戸らしく、さっきから日本酒のグラスを片手に親友の名を叫んでいる。ただ泣きながら。しかしイケメンは泣いてもイケメンである。


<パターン4・ジョセフ>

「うるっせぇぞ!シーザーァァァァン!!」
「ジョジョォォォォォォォ!!」


うおお。何やら絡んで来たのはジョセフ。彼は酔うと、元々の短気な性格も相成ってか、とにかく怒る。切れて喧嘩になって、寝て忘れてが彼のパターンなのだが本当面倒くさい。規格外のパワーを持った大の男をひょろい女が一人で止められるわけがないのだ。

何度か止めようとしたもののわたしもとばっちりを受けたのでもう二度と相手にしない。放っておくことにした。


「うわあああああおれのっさいごのっジョジョォォォ…ッッ」
「うるっせぇって言ってんだろシーザーちゃんよォォォォォッッ」
「花京院くん、今の内に逃げるよ」
「は、はい」


お互い叫びながら堅く抱き合ったのを目の端に収めながら若い子を連れてそこから離れた。



<パターン5・ディオ>

ディオはDIOと同じく酒には強い。ブランドー家は比較的酔いにくいようで、ジョナサンと飲んだ帰りは2人で必死に連れ帰るのだ。ちなみに最初はジョナサンと飲み、DIOを潰したのはこいつである。


「ディオに避難ー」
「なんだ」
「花京院くん、こいつなら他の人間とは違うからまだマシだよ」
「マシとはなんだ。その言い方はないだろう!大体何だ避難って俺はそんな都合のいい男ではないぞ!」
「口数が多くなるからそこは気をつけてね」
「はあ…」


花京院くんは本当に疲れてしまったらしく、若干げっそりとしていた。承太郎はトイレなのか今ここにいないので止むを得ずディオの隣に花京院くんを座らせ、その隣にわたしが腰掛ける。たしかあまりこの2人は関わりがなかったはずだから、いい機会だし仲良くなるのもいいだろう。


「花京院くんだったか?君、酒は飲まないのか?」
「あ、はい。未成年ですし、飲んだこともあまりないので…」
「何だ、随分と消極的だな。貧弱貧弱ゥ!これでも飲め!」
「えっ」


彼に渡したのは近くにあった缶チューハイ。まあ、最初から強いのは無理だからちょうどいいんじゃないかな。


「じゃあ…す、少しだけ」


ディオはあんなんだけどアホだし表向きはいい奴だから大丈夫だろう、とわたしはそこを離れる。男同士ってのも大切なんじゃないかな、わかんないけど!そういえば心なしかいつもより顔が赤く気上して目も緩くなってた気がするけど、まあいっか!あいつ酔っても記憶あるし!



<パターン6・承太郎>

いつの間にか戻って来ていた承太郎を見つけた。部屋の中心から離れて一人で黙々と焼酎を飲んでいる。そういえば彼が飲んでいるのをあまりみたことがない。強そうなイメージがある。


「承太郎、隣いい?」
「………ああ」


承太郎から許可をもらったので、近くから持ってきた缶ビールを片手に隣に座る。それにしても、ただの白いTシャツにジーパンなのになんでこいつはこんなにも様になるんだろう。顔を見ればそこそこ赤くなり、少しぼうっとしている。まあ、普通の酔い方だろう。こんな時にも取らない特徴的な学生帽から覗く目が余計に色気が増している。ファンの子達がみたら卒倒ものだ。


「いやあ、ホント皆様々な酔い方してくれて楽しいよ。めんどくさいけど。承太郎は強かったんだねえ」
「………ああ」
「あ、その焼酎ちょっと頂戴」
「………ああ」
「…承太郎?」
「………ああ」


さっきから同じ返事しかしない承太郎に不思議になり再び彼を見ると、じーっとただこちらを見ていた。そして動かない。元々寡黙だったが、これは、なんともむず痒い。イケメンに見つめられてるというか、穴があきそうだ。


「どうしたの?」
「……洸…」
「うえっ!?」


困り顔になったかと思えば、急にわたしの肩にもたれ掛かってきた。普段そんなことをしないので酷く驚いて固まっていると、さらに彼は移動し、ソファから降りて床に座りわたしの腰に逞しい腕を回してきた。


「ちょ、ちょっと承太郎!?」
「んん…あたま、」
「え?」


そういうと先ほどこんな時にも取らないとか説明した筈の学生帽を取り、わたしのお腹に顔を埋めた。くすぐったい。


「あたま、なでて…くれ」
「…撫でて欲しいの?」


こくり、と無言で頷いた。とりあえず恐る恐る少し硬い癖のある髪を撫でてみると、承太郎は嬉しいのかぐりぐりと頭と顔を擦り付けた。何だろうこれ、見たことある。この家の愛犬のダニーとかよくやってる。


「ん…」
「(可愛すぎかよ)」


きっと今わたしの顔は緩みに緩みきっているだろう。腰に回った腕にがっちりとホールドされていて外れる気配はないので、とりあえず今日はここで諦めることにした。視界の隅に映る花京院くんはディオに飲まされたせいだろう、レロレロ言いながら踊っていた。あ、ちなみにわたし毎回お酒飲んでたんだけど酔わない、所謂ザルなので、この後の片付けが大変だろうなあ…と少し気が遠くなった。





141001
まとまらなかったのでここで強制終了申し訳ないです。ただ酒ネタはやりたかった。酔い方はなんとなくのイメージです。ジョセフとシーザーは記憶なくなるから毎回恥ずかしいことやってて、ブランドーと花京院は覚えてて、ジョナサンは急に寝るから論外で、承太郎は想像にお任せします。そんなイメージ。長くなりました。
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