お昼寝しよう1

ジョースター家に遊びに来たわたしは、ジョナサンとエリナの息子である3歳の定助の相手をしていた。というのも、エリナは近所のママ会でジョナサンは大学に急遽呼ばれたからだ。ジョナサンはすぐに帰ってくるとは言っていたけど夕飯は作っておこう。


「あ〜〜、やすほォ〜〜〜」
「あ、これ康穂ちゃんなの?上手だね」
「んン〜〜〜」


この間延びした喋り方は誰に似たんだ。ちょっと抜けた子である定助は、保育園で仲良しである康穂ちゃんをクレヨンで目一杯描いている。そもそも康穂ちゃんしか描いてない。


「ふぁ〜〜〜〜」
「ありゃ、眠くなっちゃった?」
「ん〜〜〜…」


急にうとうとし始めた定助を抱え、ジョナサン達の寝室に移動する。3人川の字で寝ているんだろうキングサイズのベッドに微笑ましくなりながら、彼を横にした。それから部屋にあるウェットティッシュで手に付いたクレヨンを拭う。もう既に限界なのか目を擦り、虚ろな瞳でわたしを見た。


「洸〜〜〜、あたまァ…」
「はいはい」


定助は頭を撫でられながら寝るのが習慣だ。薄い毛布を掛け、わたしも横になって小さな頭を撫でる。するとあっという間にスヤスヤと規則正しい寝息が聞こえてきた。親友であるジョナサンとエリナの息子。でも赤ん坊の頃から知ってるからかわたしも自分の息子のような感覚でとても愛しい。

昼の心地いい気温と小さな温もりに、わたしも素直に意識を手放した。



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(ジョニィ視点)



「ただいまー。……あれ?」


学校から帰ってくると、返事は返ってこなかった。今日は確かジョナ兄さんが休みで家にいるって言ってたから、てっきりすぐ出迎えてくれるものだと思った。ジョナ兄さんはそういう所は律儀だ。どうやら出かけているらしい。


「あ、大学に行ったのか」


家族共有のホワイトボードには、ジョナサンという名前の所に雑に大学、とだけ書かれていた。たぶん急いでたんだな。他の名前には学校のマグネットが貼っていて、隣にはご飯が必要なのかいらないのかというマグネットもそれぞれ貼っている。今日は平日だから学校の人がほとんどで、大体は家で食べるらしい。これはジョナ兄さんが考案したもので、連絡を入れ忘れると雷が怖いので誰も忘れることはない。


「(この間ジョセフ兄さんが忘れた時はすごかったな)」


ぼーっと思い出しながら手を洗い、自分の部屋に向かう途中、ジョナ兄さんの部屋の扉が開いているのに気付いた。ランドセルを置いて戻ると、大きなベッドに小さな定助と洸が仲良く寝ていた。


「……いいな」


僕も混ざりたい。素直に定助の隣に横になり、洸の寝顔を見つめた。物心ついた頃には既に側にいた彼女は、実の姉のようだ。定助を見ていると、こんなこともしてもらったのかな、とか思って嬉しくなった。そしてそのまま目を閉じた。



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(ジョルノ視点)



「おや」


大好きで可愛らしい姉のような人と、従兄弟だが実の兄弟同然に暮らして来た弟達が川の字で寝ていた。なぜこのような状況になっているのかは容易に想像できる。定助に掛けられている毛布を一度はがし、3人に再び優しく掛ける。それによりジョニィが僅かに身じろぎし、丸くなる。

その隣に腰掛けて眺める。洸さんは歳によりも若く見える、所謂童顔な方なのだが、寝ている姿は更に幼く見える。


「洸姉さん」


本人の前では決して呼んだことのない、姉という言葉。実際血は繋がっていないのだが、物心つく頃には既にいた彼女は姉のようであり、母のようである。母の事は知らないが、きっと洸さんのような女性を言うのだろう。


「………」


誰もいないとはいえ気恥ずかしくなり、そのままベッドに顔を埋めた。でも血が繋がってなくてもよかった、とも思う僕は我儘だろうか。


140923
続きます
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