06.
先日、わたしはめでたく三歳になった。それは凄い誕生日パーティーだった。じいちゃんからは本を、ダダン達からは大きな(それこそわたしの身長くらい)熊のぬいぐるみを、マキノさんからは手作りの服を貰った。なぜかわからないけどじいちゃんの職場の人達からも郵送でプレゼントが届いて、どうしたらいいかわからない(玩具が大半だが如何せん数が多い)。

まあプレゼントを貰った後はやれ飯食えやれ酒飲めでどんちゃん騒ぎになり、もう誕生日関係なしに暴れていた。わたしは途中から抜け出し部屋に戻ってしんみりした。もう三年なんだなぁとか。年寄り臭いとか言わない。

そして今は友人二人と盛大に遊んでいる。


「そういえばお前、このあいだたんじょうびだったんだろ?」
「え、…なんでしってるの?」
「お前のいえ、すっげぇさわいでたじゃねぇか。三才がどうのって言ってたからな。お前しかいねぇだろ」
「ああー…」


いや全くお恥ずかしい。事実なんだよ。


「……プレゼント、何もない」
「え?いいよ。だいじょうぶだよ。わたしだって、きっどときらーのたんじょうびになにもあげてないもん」
「だが…」


知らなかったしね。ていうか気にしたことがないくらい楽しく遊んでいたのだ。ちなみに彼らは幼稚園の年長で、来年からは小学校だ。子供らしくない所もあるが、ランドセルを背負う彼らは想像しただけで凄まじい違和感があるけど、それもまた可愛らしい(ギャップ?これがギャップ萌えなの?)。


「きっどは、ようちえんで、なにしてるの?」
「あ?あー…、さいきんはさんすうとか?べんきょうとか…」
「でもキッドは、たいていねてる」
「てめっ、キラー!」
「ふりょー」
「ちげえっ!めんどくせぇだけだ!」


寝てんじゃん。いやあ顔を赤くしながら怒鳴ったって怖くないよ。可愛い可愛い(言ったら殴られそうだけど)。でも幼稚園、小学校か。アカデミーみたいな所なのかな。でもこの世界って忍者いないし違うか。わたしは幼稚園には通っていないからわからないのだ。


「あ、そういえばおれ、あしたからあまりあそべなくなる」
「え!?」
「なんでだ?」
「じゅくに行けといわれた」
「じゅく…」
「がっこういがいでべんきょうするところだ」


キラーから説明を聞いて呆然とした。え、何それ勉強するの?学校以外で?鍛練とかならわかるけど頭使うのに金掛けるのか…わからないわ。


「おれよりキッドのほうが行くべきだとおもうがな」
「え、きっどあたまわるいの?」
「あたまわるいって言うな!……にがてなだけだ。つーかキラーはじゅうぶんあたまいいんだから行くひつようねぇだろ」
「まあそうなんだが…。おやが、りっぱなだいがくにいけと」
「だいがく?(頭いいって所は否定しないんだ…)」
「大人になるためのべんきょうをするところだ。そこでたくさんべんきょうして、えらくなるんだと言っていた」
「へえ…」


学校沢山あるなあ、よくわからないけど。わたしアカデミーしか出てないからさっぱりだよ。今度内容見せてもらおう。


「そういえば、きらーときっどのいえってなんなの?」
「おれのいえはべんごしだ」
「おれはじじいがやくざだ」
「へ、へえ…?」


べんごしって何だろう…。ヤクザはあれだよね、オラオラ言ってるやつだよね、あの怖いの。…キッドだもん、何か納得。べんごしは帰ったらダダンに聞いてみよう。


「そういうお前は何だよ」
「わたし?わたしは、じいちゃんがけいさつのえらいひとなんだって」
「けいさつか。かっけぇな」
「ちがいない」
「しごとしてるのみたことないけどね」


そういえば余り知らないな、じいちゃんのこと。けいさつもよく分からないし。……帰ったら辞典で調べよう。


「おとなになったら、なにになるんだろうね」
「さあな」
「わからない。まだ先のはなしだ」
「そうだねー」
「それより早くなわとびやろうぜ。キラーもってきたんだろ?」
「あぁ」


先の話。いつか来る未来。その先も、三人でいられたらいいなと願う、今日この頃。

110315
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