04.
あれ以来わたし達三人はいつも一緒に遊んだ。最近近所では悪戯っ子で名が通っている。キッドが考える悪戯は面白いし、キラーは頭いいから何でも教えてくれる(前世とは違うものが多い)。

二歳になり、少しだがわたしの周りも変化してきた。わかったことはキッド達が三つ年上であるということ。二人は今幼稚園に通っていて午後にしか会えない。初めて会ったあの日は春休み中だったらしく、毎日遊べたのだが今は暇だ。


「(本気で暇だわ…。体術の練習でもしようかな)」


公園に行っても二人以外に友達はいないし、見た目は二歳児だが中身は二十歳越えしてるわけで、あの中に入るのは難しい。無邪気さがないから勇気が欲しいのだ。


「(皆は仕事、パッチも仕事でルルーは台所…)」


ちょろりと顔を覗かせ、今日のお守り役であるルルーを見ると、台所を掃除しているのが見えた。大きな体格の男がエプロンとゴム手袋を着けて動いている姿は可愛らしい。

ダダンとわたしの部屋に戻って来ると、ドアをしっかり閉めたのを確認してから部屋の中央に向かう。息を吸い込み、薄く吐いてピタッと止める。

少し駆け出しその勢いのまま飛び上がり回転しながら踵を振り下ろす。その回転を活かし腕を横に凪ぐとバック転しその遠心力で足を上へ蹴り上げる。腕の筋力を使って後方へ下がると再び前方に身を低くして走り殴り、蹴り、防ぎ、躱し、ラスト脚に体重を掛け右拳を前へ突き出し―――


「何してるんだ?」


がちゃりと開いたドアに身体が反応し瞬身の術でドアの上、天井にへばり付いていた。え、今更だけど後悔何やってるんだ、わたし。これもし見付かったら洒落にならない。


「あれ?何か物音が聞こえたような気がしたんだが…」


集中し過ぎた…随分激しくやっていたらしい。早く行ってー!


「まあいいか…。スイレンー?」


ドアが閉じられると天井から降り、途端に肩の力を抜いた。あっぶねー!ルルーが大雑把でよかったー!


「(これからは少しずつ鍛練しよう…。一応身体が覚えてるみたいだし)」


鈍ってはいるが二歳児なら上出来だろう。ごろんと床に寝転び溜め息を吐いた。いやでも心臓に悪い。荒い息を落ち着かせるために深呼吸をした。


「(暇だわ…)」


110313
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