02.
わたしが泣き疲れて眠っている間にあれよあれよと色々な事が決まったらしい。まずわたしが捨てられていたのは警視庁という所の真ん前で、拾ってくれたあの厳つい人はガープさんというらしい。聞き慣れない単語が幾つか出てきたが、周りを見て何となく察した。

ここはわたしがいた世界じゃない。

どうしてそう思ったのかは分からないけど、それが一番しっくりきた。明らかに進んだ技術が周りに溢れていて目がチカチカした。


「よしよし。お前はこれから儂がお前の親、じいちゃんだ」
「(親…じいちゃん…?)」
「それと、お前の名前はスイレンだ」


わたしはてっきり孤児院にでも入れられるのかと思ったのだけど、この人が預かってくれるという事だ。名前も、何の偶然か前世と同じ。話す事はできないけれど、とりあえずこれからよろしくお願いします、と心の中で頭を下げた。




************




ガープさん(じいちゃんと呼ばせてもらおう)に連れられて、知り合いだというダダンという人に預けられた。じいちゃんは仕事が忙しく家に帰るのが遅くなるからこれが一番最適らしい。ダダンは豪快な女の人だが、赤ん坊であるわたしに対して四苦八苦しながら育ててくれた。周りはダダンを「お頭」と呼ぶ人達ばかりで戸惑ったりはしたけど。


「あ、あぎゃあぁぁぁ(き、気持ち悪いぃぃ…)」
「はいはい、おむつねー」


でも未だにこれは慣れない。近所のお姉さん、マキノさんが細かい世話をしてくれるのだけど、精神年齢が二十歳近いわたしにとってこのおむつ交換は恥ずかしくて仕方ない。顔を隠したいのに腕が短くて隠せない。周りに男がいる時なんて羞恥で死ねるかと思った。


「(喋れないのがもどかしい…)」


ていうか何でマキノさんはこんなに赤ん坊の世話に手慣れているんだ。子供いなかったはずなのに。うーん…。

そしてわたしの新たな人生が始まった。

110303
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