12.
例の如く集められたわたし達はもしや、と顔を見合わせた。ダダンも冷や汗をかいている。わたしの左右隣にいるエースとサボのみがわからない顔をしていた。


「すいれん、なに?」
「何だろうねー。何かなー」
「?すいれん、わかんないの?」
「アハハーワカンナイナー」


三歳になった彼らはなぜかわたしを名前で呼ぶようになった。何回も姉ちゃんと呼べと言ったが、周りが名前で呼ぶのが染みてしまったらしく、結局わたしは諦めた。

がらりと開いた部屋のドアに視線が注目する。じいちゃんと、その腕に抱かれている「何か」を見た瞬間、わたし達は確信した。


『(またか…!!)』


恐らく三歳児二人以外の心が一つになった瞬間だろう。呆然と見つめていると、じいちゃんはがっはっはと笑ってから、その腕に抱くそれをわたしに渡した。


「今日からお前達の弟だ!」
『(やっぱりー!!!)』



***************



どうやらこの子、ルフィはじいちゃんの実の孫らしい。ていうかじいちゃん結婚してたのか。子供いたのか、初耳だぞ。何やらダダンと一方的な言い争いをしてるみたいで話が筒抜けだ。

エースとサボは実感がないのか、少し離れた所でじっと見ている。でも気になるのだろう、視線は離さない。わたしはそれに気付かないフリをしてルフィを見る。まだぱやぱやとした産毛しか生えていない頭を撫でると、ルフィがゆっくりと動いた。


「おら、お前らも行ってこい」
「う、うっせぇ!」
「何照れてんだよ。お前らの弟だろ」
「で、でも…」


どうしたらいいかわからないのだろう。仕方ないなあ。


「エース、サボ」
『!』
「おいで」


へらへらと笑いながら二人に言うと、二人はゆっくりと近付いてきた。そして懲りずにじっと見つめる。


「抱いてみる?」
「えっ」
「座って」


問答無用で二人を座らせ、その小さな手にルフィを預ける。エースの手を取ると、緊張しているのか動きがぎこちない。そしてまた見つめる。


「………さるみたい」
「あははっ。みんなこうだったんだよ」
「えっ、おれたちも?」
「そうだよ。エース達と同じくらいの時に二人が来たの」


サボの頭を撫でながら笑うと、擽ったそうに笑った。もう三年が経ったんだね。


「エースもサボも、これからはルフィのお兄ちゃんなんだよ」
「おにいちゃん…?」


途端に二人の瞳が煌めいた。お兄ちゃんって、凄くかっこいいしね。わたしも三人の姉、しっかりお姉ちゃんやるからね。


「よろしくね、ルフィ」
「るふぃ、おれはえーすだ!」
「おれはさぼ!よろしくな、るふぃ!」


今日、新しい家族が増えました。

110321
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