11.
ある日の晴れた日曜日、わたしは歩けるようになったエースとサボの手を引いて公園に来ていた。勿論パッチという保護者同伴の上で(パッチは兄みたいだ)。ちなみに二人は今日がちゃんとした公園デビューである。公園に着くと、二人は目を輝かせた。


「俺はそこのベンチにいるから、何かあったら呼べよ」
「はーい」


パッチから離れてずっと気になっていたのか、エースがブランコを指差した。


「ねえちゃ、ねえちゃっ」
「ブランコね。座って」


まずエースを座らせ、支えながらゆっくり押す。ゆらゆらと揺れるそれにエースは気に入ったらしい。


「ねえちゃっねえちゃっ」
「はいはい」


サボも乗せるがエースを放すのはまだ恐い。鎖をしっかり握っているように言い、サボを揺らす。きゃっきゃっと可愛らしい笑い声が響く。


「お、スイレンじゃねぇか」
「キッド!キラー!」


二人も遊びに来たのだろう。二人はわたしの周りにいる二人に気づいて首を傾げた。


「そいつら、何だ?」
「わたしの弟だよ。ほら、前言ったじゃない」
「ああ、そいつらが。エースとサボだったか?」
「うん。エース、サボ、ご挨拶は?」


弟達をブランコから下ろして前に立たせると、二人をじっと見つめた。あれ、この間教えたのに。キッドとキラーも何も言わずに見返している。心なしか睨んでいるような…。


「………」
「………」
「………」
「………」


えー何これ。わたしどうしたらいいの?これ完璧に睨み合ってるよね。本当にこの子達の先が思いやられるわ。


「てめぇは、だれですか」
「エース違う!!」


エース!?わたしそんな言葉教えた覚えないんだけど!?しかも何でちゃんとした言葉話せるの!?


「だだん」
「(悪影響だよダダン…っ)」


サボもあっけらかんとしている。キッドとキラーはポカンとしていたが、ニヤリと笑ってから二人の頭を撫ではじめた。それも激しく。


「!?いたい、いたいっ」
「うぇっいたいっ」
「ちょ、ちょっと二人とも!?」
「くっくっく。俺たちからのあいさつだ。よく覚えておけよ、くそガキ共」
「違いない」
「ちょ、ちょっとー!」


ぐりぐりぐりぐり。エースとサボはあろうことか反撃仕出した。それを躱しながらまた弄る。四人とも火が点いたらしい。


「(これはまた…悪友になりそうだ)」


仲良くなったみたいでいいけど。わたしはブランコに腰掛け、白熱する四人を眺めながらゆらゆらと漕いだ。空が青いわあ。

110319
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