鬼灯 | ナノ



あっという間に手続きは済み、明日から授業に参加することになった。部屋はいつも使っている部屋。他の長屋からは少し離れた場所にある。着替えを済ませ、久しぶりに後輩達をからかいに出た。



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適当に歩いていると、水色の忍装束が騒いでいるのが見えた。一年も経てば学年は変わるわけで、あの学年とは初めて関わる。どんな子供が入ったのだろう、と興味津々で近づいた。


「こんにちは」
『きゃあああぁぁぁ!!!!』

『こんにちはー!!!!』


これは、また…、癖のある子供達が入ったもんだ。切り替えの早い一年達はお姉さん誰ですかー?と元気よく尋ねてきた。


「明日から教育実習生として授業することになった、浮草椎蓮です。よろしくねー」
『よろしくお願いしまーす!!』


そのあとは一斉に自己紹介を始めたり質問しだしたりと、仲のよいクラスだな、と呟けば一層楽しそうに返事をした。向こうに懐かしい青色が見えたので、一年達に別れを告げそちらに向かった。



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この学年も可愛い反応をするよな、と一年前より大きくなった彼らを見てへらりと笑った。


「椎蓮さんっ」
「お久しぶりです!」
「あらあら、大きくなったわね」


腰に抱き着いた四郎兵衛を抱き上げ肩車した。小柄な四郎兵衛も重くなった。それを見てか二年生達は羨望の眼差しを向けて来る。それでも口に出さないのは、お年頃ならではのプライドだろう。


「ふふ、また今度君達もしてあげるよ。残念だけどそろそろ終わりの鐘が鳴るようだしね」
「ぼ、僕達はそんな…!」
「気にしない気にしない。ほら、鐘が鳴ったわ。授業に遅れるよ」


肩から四郎兵衛を降ろし、戸惑いながら走っていく彼らに手を振った。顔を真っ赤にしながら否定したって可愛いだけなんだよ。



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久しぶりに食堂のおばちゃんの料理を食べ、夜は四年生までの懐かしい面々に会うことができた。四年生は相変わらずアイドル学年と呼ばれていて、編入生が増えていて挨拶をするとふにゃりと喋る子だと思った。可愛い子だ。五六年生は実習で明日帰ってくるらしい。明日会うのが楽しみだ。


「あら、満月」


布団を敷いていざ寝ようとした時、戸の隙間から見えた月が気になり縁側に出て腰掛けた。心地好い風が肌を撫でる。この月を、あの子も見ているだろうか。見て、わたしを思い出してくれるだろうか。


「………ナルト」


無意識に左腕を抱き、目を瞑った。

110130
あれ、スランプ…?
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