壱
ナルト、姉ちゃん今日は遅くなるから、家に帰ってきたら鍵はちゃんと掛けるんだよ
わかったってばよっ
あとイルカ先生を捕まえてラーメン食べるのは今日だけ許す。ただし限度を知ること!
わかったってばよっ!姉ちゃん遅刻する!
あらもうそんな時間?いってらっしゃい、気をつけてね
おうっ!
こんな所で、死ぬわけには…!
残念だな、死ぬんだよ
ぐ…ぅっ
ふん、九尾と言えどこの程度か
(こいつら…それが狙いか…!)
…やれ
やめ、ろ…触るな…!
往生際の悪い娘だ
、っあ…!?
腹の封印ごと消してやろう
あ、あ…あああああ!!!!
「あー…」
視界に広がった木々に顔をしかめる。身体を起こすと額が汗ばんでいる事に気付き、一人苦笑した。いつも通り野宿したわたしは空を見上げ、淡く白み始めたそれを眺めてから腰を上げた。懐かしい夢を見た。全ての終わりで、始まりだったあの日の夢。きっとわたしは忘れない。まだ諦めていないから。
「さて、と。行くかな」
歩きだしたその遥か先に、今のわたしがいるべき場所がある。わたしはちゃんと、歩けているだろうか。
110129
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