▽ 新タナ幕開ケ
わたしが忍術学園の事務員になって数ヶ月経ち、漸く皆に心を開いてもらった頃だ。わたしは食堂のおばちゃんに頼まれ、大木先生の所へ文を届けに出ていた。帰ってくると珍しく小松田くんはおらず、学園内もどこか空気が違うような気がした。食堂でおばちゃんに問えば、天女様が空から降りてきたらしい。
「(天女様って…、まさかトリップ主?)」
腐女子のわたしは天女夢も傍観夢も理解しているから、まさかと思いながらもあまり彼女とは会わなかった。彼女は案の定すんなりと事務員になり、わたしと同じ仕事をすることになった。
彼女と初めて会った時、一目見て逆ハー補填をされていることがわかった。美人で女性らしい振る舞い、歳を聞けばわたしより一つ下。でも目は愛されたいと奥で欲望がぎらついていた。傍観夢によくある典型的な自分大好き天女夢らしい。
「えりかさん」
名前を呼ばれて振り向けば、天女様が嫌な笑みを浮かべて立っていた。周りには誰もいない。
「あんた誰?落乱にあんたみたいなブスな事務員いなかった筈だけど」
天女様はとんだ愚かな猫かぶりらしい。
新たな幕開け
(わたしは傍観主?)101101