ひかげぼっこ | ナノ


▽ 嵐ノ前ノ静ケサ


今日は朝から食堂のおばちゃんが用事があるため一日中いない。そのため三食共わたし達若い事務員二人が作ることになった。わたしは元々事務員兼食堂のお手伝いが仕事だし、小松田くんは皆から非難された(門番をやってくれと言われた)ので必然的に残る彼女が当て嵌まる。ちゃんと来てくれるか不安だったけど、時間には少し遅れたものの一応仕事をしている。包丁を持つ手はぎこちなくトリップ前は料理をほとんどしていなかったのが伺える。とりあえず簡単なことはやってくれるので安心した。


「(昨日生徒の前で言っちゃったから休んだら一気に信頼失うよねー)」


主に六年生の。女の勘というか何というか六年生は彼女に惚れているし彼女は彼女で六年生を繋ぎ止めていたい筈だ。わたしがトリップした時は愛されたいというよりも萌え優先だったからなあ。そこが彼女との違いなのかも。


「じゃあそれ終わったら注文お願いね。そろそろ朝食の時間だから」
「はぁい」


盛り付けは均等が大事。彼女もカウンターで生徒と話したいだろうし、面倒になる前に無難な仕事を彼女に言い渡した。程なくして授業が終わった生徒達が食堂に溢れる。テンポは遅いながらも一応ちゃんと注文を取り渡しての繰り返し。一通り終わった頃、兵助が台所に顔を出した。


「えりか」
「兵助!どうしたの?」
「いや、何か手伝おうと思って」
「授業は?」
「午前は自習なんだ。だから抜けてきた。何かあっても勘ちゃんがごまかしてくれるさ」
「もう…。でもありがとう。じゃあ食器拭いてもらえる?」
「了解」


幸い今彼女は洗濯物を取りに行ってもらっているのでこの場にはいない(ちなみに洗うのはわたし)。いたらいたで面倒だけど。暫くして後片付けが終わると兵助はいきなり抱き着いてきた。


「へへへ兵助!?」
「……何もされてないか?」


兵助の顔は見えない。でも心配してくれていたようで嬉しくなった。思わず彼の裾を掴む。


「大丈夫だよ。やることはやってくれるし、根はいい子なのかも」
「はぁ…。甘いというかお人好しというか…」
「うん、ごめん」
「気持ちが篭ってない。…まあいいか、無事なら。何かあったら俺達に言えよ」
「わかったわかった」


全くどっちが年上なんだか、過保護というか心配性というか。とりあえずわたし達は離れて、わたしは洗濯物を干しに向かうことにした。兵助は授業に戻るらしい(サボるなと釘を刺しておいた)。兵助が食堂から出るのを見送ってから裏口から出ようとすると、隅で何かが動いた気がして確認したけど何もなかったので気のせいだったらしい。特に気にせず洗濯しに向かったけど、もっと早くに気付けばよかったと後悔することになる。

101209
------
うちの久々知がデレすぎる。おかしい。勝手にデレる。クーデレの筈なのにデレデレですがこれは夢主限定です。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -