■ テスト二日目



「あ、そうだ。血を吸わせてください」

『断る』

「血をす『断る』

貧血になるなんて御免だ。あからさまにションボリとしないでほしい。
ちょっと母性本能が…。

「今、失礼なこと考えましたね。母性本能云々…」

『……黒子くんって小さい子供みたいだし』

「はっきり言えば名前さんってボクとあまり身長変わらないんじゃないですか?」

厚底をしげしげと見つめる彼。

『当たり前じゃん。涼太が異常に縦に長いだけだから。だいたい私の身長は160ぎりぎり』

「え、…じゃあこの靴は」

『25cmの厚底』

「は…、転ばないんですか?」

『転ばない、あんまり歩かないようにしてるから』

といっても黒子くんの前では歩き回っている。
これでも、昨日は走るときは大変だったのだ。

「凄いですね…、それより血を」

『諦めろや』












***












二日目のテスト。英語と数学だ。
言わずもがな簡単で笑いそうだった。涼太が答案用紙を片手に「姉ちゃん!見て!!一桁!」なんて昔言っていたのを思い出した。

赤い文字は大きく9と書かれていたのを指差して、ヘラヘラと笑いっていた。

英語の英作文では好きな教科について書けと書かれていた。もちろん数学について書いた。
中学の英作文では嘘っぱちを書いても平気である。

だから涼太らしくない内容を書いた。英語はそれなりに自信がある。



私は、数学が好きです。私にとって数学とは生きる理由です。
だから私はこれからも数学の問題を解きつづけるでしょう。私がいつも数学の点数が悪いのは、簡単過ぎて凡ミスしてしまうからです。


ザッとこんな内容を書いた。数学なんて可愛い問題がたくさん出た。中学の時を思い出す。

『(あの時は難しいって思ってたけど、今解くと超簡単)』

ここまできたら学年一番を取る。黄瀬姉弟の本気である。

これなら噂の赤司とかいう奴も文句は言わないだろう。

その時はそう思っていた。学年の首席を取ることが自分の首を締めるなんてことを私は知らなかった。

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