■ 宣戦布告
再び押し倒される。名前が貧血寸前になるころ黒子はやっと血を吸うのをやめた。
「ボクと付き合ってください」
血を滲ませた唇を名前に寄せる。
『……ダメ、だよ』
言葉を紡ぐごとに涙が溢れていく名前の額の髪をよかした。
「正直に気持ちを言ってほしいんです」
金髪が散らばる絨毯に身を任せる名前は黒子の胸板を押した。
『だめ……』
静かに泣きじゃくる名前が黒子を否定し、ふわふわする視界に頭が朦朧とする。
「………なら、何が何でも奪ってみせます」
目を細めて名前を見下ろす。
『……っ』
「貴女に白旗を振らせてあげます」
宣戦布告をして黒子が離れた。そのことに名前は寂しさを感じる。起き上がると黒子は部屋を出ていくとこだった。
***
「何言ってるんスか!!俺は本当に知らなかったんス」
「黙れ、駄犬め。僕の質問に答えるんだ」
部屋から出ると赤司が黄瀬を脅している真っ最中だった。赤司が黒子を見たとき、鋏を落とした。
黄瀬もブッと噴き出す。
「…何ですか、二人して」
赤司が顔を真っ赤にする。こういうとこは純粋なんだと思っていると、黙って見ていた紫原の後ろに隠れる。
「黒子っち…」
「何ですか?」
ガバッと黄瀬が狂ったように黒子に縋る。
「姉ちゃんに何したんスかあああああっ!!!!!!その唇の赤いのは一体何なんスかあああああっ!?」
「え?」
パッと指で擦ると名前の血を吸った時のものだと思った。
「黒子っちイイィ!!許さないっス!!」
「大変です。食べ残しが」
「食べ残しっ!?姉ちゃんの口紅を食べて…!?」
黄瀬がフラリと倒れた。
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