■ 誰の為か考えて


「ゲームはボクのためなんです。分かってくれますよね?」

ペーパーナイフを名前の首元にペタペタと切れないように押し当てる。
名前は涙を滲ませ何度も頷く。ガタガタと震える名前に黒子はいい子です、と言ってペーパーナイフをしまった。

「あ、ハンデとして今日はボクは帰ります。それとゲームはボクと名前の秘密ですよ?もしバラしたら容赦はしません」

黒子が窓から出ていった。そのことに酷く安堵する。名前はしばらくその場から動くことができなかった。





***





黒子が部屋に戻るとパソコンの電源を入れる。ドカッと椅子に座ると刃物を机に置く。
デスクトップが起動し即座にカメラのアイコンをクリックした。

そして画面に映り込むのは名前の部屋。ずっと、ずっと彼女を監視していた。
パソコンを買ってもらってからは毎日、毎日見ていた。

「泣いた名前もそそられますね…」

画面の奥の床に座り込む名前をうっとり眺める。




なんて、可愛らしいのだろう。

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