■ 非日常を否定する
思考停止した脳を叩き起こす。
『………っ!!』
黒子の腕の中は安心するが今はそれどころではない。暑いわけないのに不思議なことに汗が滲む。
黒子は構わずキスを続行する。しかし名前の息が続かなくなってきたため一層逃げようとする。
名前は頬を掴む手を引っ張り、全身を使い暴れまくった。
黒子が仕方ないといった顔で名前を離す。
『ふっ…、はぁ、』
激しく呼吸し、黒子を突き飛ばし怒鳴った。
『やっていいこととダメなことがあるんだから!!テツのバカッ!!』
「…うるさいってさっきも言いましたよね?」
黒子の目がいつもと違う。優しい目ではなく、狂気を含む目だ。
そのことに恐怖を覚えるが何かの悪ふざけだと名前は内心で言い訳する。
『うるさいも何もテツがっ!?』
腕を捕まれ窓に叩きつけられる。頭を打ち、窓が割れるなんて思いながら座り込んだ。
「少し黙ってくれませんか?」
怖い思いをしたくなければ、と黒子が笑った。
カシャンとフローリングに落ちたモノが名前の視界に入る。
落ちていたのは鋏。他にもカッター、ペーパーナイフもあった。
『ひっ!?テ、テツ!!いくらゲームだからって』
「まだ、」
黒子がしゃがんで刃物たちを拾う。
死んじゃダメですよ?
[
prev /
next ]