■ さぁ、始めようか


さっそく、窓を飛び越えて黒子の部屋に入り込んだ名前は目を丸くした。
部屋の主がいない、この部屋は殺風景だと思った。いつもはそんな風には思わない。しかし本棚は消え、机に置かれた一冊の本だけが妙に目に焼き付く。

『……本棚が消えた、アレ?うそ』

キョロキョロと見回すが本棚はない。代わりに机の上の本が目に入る。

これだけのはずが無いはずなのにと名前は本の山を探すが、しばらくして階段を上がる音がしたため、仕方なく机の上の一冊だけを取って逃走した。






誰もいない部屋に入ると微かに風が入る。


「あ、鍵を掛け忘れました…」

机の上の一冊が消えていた。呆気なく取られた本は今頃名前の手元。


非日常がやってくる。
思わずニヤニヤしてしまう。

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