■ 欲しいもの
こんばんは。ボクは黒子テツヤと言います。以後お見知りおきを。
ボクにはどうしても欲しいものがあります。それは可愛らしい容姿と歌声で人々を魅了する同い年の女の子。
バスケの才能よりも欲しいかもしれない。
彼女もバスケをやっていて女バスのエースだ。
良いなぁ、と呟くヒマがあるなら練習をするのがボク。ほら、今だってそうだ。
合同練習をしている体育に彼女が華麗にバックボードシュートを決めてもボクはただ凄いとしか思わない。
そして強くなるために自分の練習を再開するのだ。
***
『テツ、前の練習試合凄かったよ!!』
彼女は恥じらいもせずに男子更衣室に入って来る。黄瀬くんがキャー!と騒ごうが青峰くんがエロ本を読んでいようが関係ない。
そのことについて赤司すら何も言わない。これが当たり前で日常。
「…ありがとうございます」
持ち前の広い視野はボクを必ずとらえる。
『イグナイトパスのあとの青峰くんのアリウープがね』
ただ嬉しそうに話す彼女は身振り手振りで気持ちを表す。
こんな日常もありだと思います。しかしボクはこんな毎日に飽き飽きしました。
ですから、非日常を求めています。優しい彼女はボクに協力してくれますよね?
彼女の話を遮るようにボクは言った。
「このあと二人で帰りませんか?」
優しい彼女が断るわけない。
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