■ だるまさんがころんだ。


「だぁーるまさんがこーろんだっ!!」

パッと振り向く黄瀬。笑顔で廊下を見渡す。

名前は物影に身を潜め、冷や汗を流しながら、動きを止めた。

『……………っ』

廊下の壁に向き直る黄瀬が再び言う。

「だぁーるまさんが、」


パタパタと足音が近づく。黄瀬はそのことに異常なまでに反応する。


「こーろんだっ!!」



ピタリと止まる空間。今度は黄瀬の壁に二メートル後ろに名前が立っていた。
にやりと黄瀬が笑う。
壁に向き直り、また言う。

「だぁーるまさ…」

肩に名前の手が触れ、すぐに黄瀬は振り向く。
名前が走っていく姿が見えた。
一番向こうの壁まで逃げきったなら名前の勝ち。


黄瀬は軽い足取りで名前を追い掛ける。普通のだるまさんが転んだをするように、次のだるまさんを決めるように。

廊下を半分まで進んだ所で名前の手が黄瀬に捕まり引き寄せられる。

そして顎を掬われキスをした。







"もし、つかまったら名前っちは俺のもの"

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