■ かくれんぼ
「どこにいるんですか?名前…」
ガラリと教室に入って来た彼に私は肩を震わせた。先生の大きなデスクの下に身を隠す私は震える体を抑え、彼が去るのを待った。
『…………』
彼は水色の髪と優しそうな目が特徴で、普通の男子中学生だ。
しかし彼は名前に対し異常な執着を持っている。
「…おかしいですねぇ。この教室だと思ったのですが…」
足音が近づき名前の鼓動が早まる。
来ないで、と思った途端に近くで彼が笑ったような気がした。
「…あ、もしかしてここですか?」
冷や汗が伝った瞬間にヒョイッとデスクの下を覗き込んだ。
名前を見た瞬間に黒子はニッコリと笑った。
「見つけました。ボクの名前…」」
『ひっ!?』
後ずさりたいのに後ずされない。
黒子の手が伸びて来る。
「探したんですよ?」
『こ、来ないで…』
名前の腕を痛いほどに掴み、机から引きずり出す。抵抗して名前は踏ん張った。
「さぁ、ボクと帰りましょう」
『いやだっ!!あっち行って!!!!』
怖くて堪らない。涙の膜が視界に張る。
ぐいぐいと引っ張られる力に負け、デスクのしたから引きずり出した名前を抱きしめられた。
「かくれんぼは終わりですよ?」
その脅えた顔も可愛いです。死ぬほど愛してますよ。
[
prev /
next ]