■ ツンデレを連れてきました。
『別にテツヤなんか好きじゃないし』
「ありがとうございます」
休憩途中、ずっと黒子に引っ付いている彼女は何者かと緑間が問う。
「初めて見る奴なのだよ」
「はい。初めて連れてきましたから」
『テツヤ、どこむいてんの!?あたしはこっち!』
随分と小柄な彼女はムキになって黒子のTシャツを引っ張る。
「緑間くんの更に上を行く人ですよ」
「なに!?どういうことなのだよ!!」
ブザーが鳴り響き、黒子は彼女から離れた。
『テツヤのばか』
「ありがとうございます。ほら、緑間くん、行きましょう」
グッと緑間の背中を押して黒子は歩みだす。
「どの辺が上なのだよ!?」
黒子がフッと笑った。
「知りたいですか?」
「俺が認めた男が認めた女だからな」
メガネを押し上げて緑間は黒子を見下ろす。
「彼女は極度のツンデレです」
キリッと言った黒子に緑間はスパァンと叩いた。
「遠回しに俺がツンデレと言っているように聞こえたのだよ」
黒子は後頭部をさすりながら、自覚なしと呟いた。
至ってそれは彼女にも言える。
「無自覚って怖いですね」
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