▼ キス魔

 名前はテツヤから顔を背けた。その表情は無表情で、淡々としている。
 黒子は公園のベンチで名前の横顔を覗いた。

「名前」

 名を呼ぶと名前は簡単に振り返る。そこを狙って唇に唇を押し付けた。

「!」

 当然名前は驚いたようでテツヤから距離を取ろうと、ベンチの上で後ずさるのだが、テツヤの前では無意味であった。
 唇を押し付けただけだったのが、べろりと舐め上げられ、名前はあまりのことにテツヤの腕を掴んだ。
 生暖かい舌が名前の唇を舐めたのち、ちゅうっと音がするくらい吸う。

「ひぅっ!」

 さらに驚く名前を見て黒子は笑うが、そんな表情を見る間もない。
 名前とって初めて人と付き合った。そして初めて交わすキス。
 顎を掴み、唇を無理やりに開かせると名前はついに目をつむった。
 目からは涙が溢れる。

「良いですね、その顔。キスだけなのにエロいです」

 どこで煽るような顔を覚えたのやらとテツヤは呟き、キスを再開する。
 テツヤの指は名前の口に入り込み、開いたまま固定した。そこへ黒子の唇が触れ、舌が入る。
 名前がさらに驚き、口を閉じようとするが、そんなのテツヤが許さない。
 逃げ腰を掴み、無理に引き寄せて深く口づけると名前はテツヤに縋るような体勢にかわる。

「ふぅっ…、テ、ツヤ…、も…と」

 いつの間にか翻弄され、彼のキスをねだっていた。

「ほら、もっと顔をこっちに向けて。はやく、体もです」

 全身をテツヤにあずけて、名前が自らキスをしたりもした。
 密着した体から名前の心音がドクドクと響く。一方、テツヤは冷静である。

「いい子です」

 名前の頭に手を添えて、押さえ付ける。




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別の意味でキス魔の黒子さん。ドSな黒子さん大好きです。

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