■ 相思相愛、ダイスキデス。


病室の片隅で私は右目だけで彼の姿を捕らえる。

「……………」

彼は私の首筋に噛み付く。血が溢れる。彼はその血を首に延ばす。

「まるで赤い首輪ですね」

『………………』

「血の首輪、赤い首輪、君とボクを繋ぐ首輪…」

違う。私を束縛するための首輪だ。

『……キライ』

「でも捕まってしまいましたからね」

『…そうだね』

あの時、どうしても彼と出会ってしまったのだろう。何故、私は彼を心配したのだろう。どうして彼は私を追い掛けるのだろう?

「好きすぎて死んじゃいそうです。その右目はボクだけを映してる…。この折れた指はボクを離さない…」

『そうなの。黒子くんしかこの目は映せないし映さない、この手は離したいのに離せない醜い手』

「そうやって落ちていくんですよ」

彼は首に付いた血を拭き取り、抱きしめた。
あーぁ、捕まってしまった。そんな気がした。

『黒子くん、好き…。もし私を捨てたら許さないからね?私も黒子に好きな子が出来たら殺すね?』

「………えぇ。解っています」

私は間違っていない。彼を愛すれば良い話だ。

『大好き』

体を離せば心からの笑顔を見せた彼。

「ボクも。…やっと手に入った」

ほら、問題無い。ほら、彼が愛しくなるから。
ほら、涙が出るくらい、彼が好き。 そう言い聞かせようか。馬鹿な自分に。

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