■ ボクだけを見て、代償はその左目で。

「ねぇ、愛してるんです。何故、気づいてくれないんですか?」

一歩踏み出す彼と、一歩後ずさる私。
電話が置かれた棚を避けて、いつの間にか壁に追い詰められる。

『やだ…、来ないで。私、黒子くんは好きじゃない』

泣きそうなのを必死に堪えて、否定した。
黒子は悲しそうに名前を抱きしめる。

「嫌だ、どんなにフラれてもボクは名前が好きなんです」

また、さん付けじゃなくなる。

『離して…』

「名前さん、…好きです」

愛を呟く黒子の細くて白い指が名前の顎をすくい口づける。

私はただ、反抗するしか出来なかった。彼の胸板を押したり、叩いたりしたがキスはだんだん深くなり仕舞いには舌まで入ってきた。

なんども、離してはまたキスをする。私は立っていられなくなった。壁を伝いズルズルと座り込む。

「名前のこと愛してる。だからボク以外の男なんて見ないでください」

人差し指を私に向けてくる。私の顔を指差したまま彼も私に合わせて座り込む。

『…やだ』

「好き、名前、…名前、…何故他の奴を見るんですか」

彼の指が私の左目の瞼をなぞる。

『……ひっ』

「その目には僕だけを映していれば良いんです…」

左の瞼に、ちゅっとキスをして眼球に指を突き刺した。

『痛い!?やめてっ!!痛いい

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