■ いつから?何時から?イツカラ?
ボクが彼女を追い掛けはじめたのは数ヶ月前。
『落としたよ?』
図書室で落とした栞を渡してくれたのは紛れも無い彼女だった。
それから目線で追うようになった。気配を消して彼女だけを見て…。そんな日々。
そしてボクは彼女の好きな人を知る。彼女の好きな食べ物、色、本。
彼女のチャットを見つけて、何度もハンドルネームを変えて訪れた。
ストーカーと言われても良い。ただ純粋に彼女が好きだった。
そんなある日、クロという本名に近いハンドルネームでチャットへ入った。
話を聞けば閉鎖しようかと思っていたと言われボクはショックを受ける。
そして彼女と会う約束をした。もう堪えられなかったのだ。
彼女の好きな人なんて視界から消してしまえば良い。
それでもダメなら殺してしまえば良い。
今でも思い出す度にはらわたが煮え繰り返りそうになる。
でも今は違う。彼女はボクの物になった。
頑張った結果。ボクの成果。
『だいすきだよ』
片目がボクを捕らえたとき、動きの鈍い指がボクの服を弱々しく掴んだ時、どうしようもない幸福感が訪れる。
「ボクもです」
一生離す気なんてない手を繋いでボクは彼女を愛し続ける。
狂うほど大好き。壊れてもいい。壊れてもボクだけが抱きしめ続けて、害虫は駆除する。
『捨てたら殺すからね?』
「捨てません」
だからボクをもっと愛して。
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