■ 2秒

「名前さん」

『………………』

 寝転がりながら名前を抱きしめる黒子は嬉しそうに呼んだ。
 そして頭を撫でると、固いフローリングから起き上がると唖然とする名前にキスをした。

「同じ家で同じ大学、ヘヴンです」

『…………知ってる?朝、歯磨きする前のヒトの口には大量の雑菌が「名前菌ごちそうさまでした」

 珍しくデレデレしている黒子。再び甘い雰囲気が訪れたと思えば、またバァンとドアが開く。

「チッ」

『!?』

 黒子が舌打ちをしながら不機嫌そうにそちらを眺めた。

「オイ!黒子!!お前の母ちゃんがっ!?」

 頬に殴られた跡がある眉毛が分裂した男が現れた。

「今日は邪魔が入りますねぇ。お母さんはともかく、ねぇ…タイガーちゃん?」


「ちょ…、怒るな。つかお前までタイガーちゃんって呼ぶな」

 彼は噂のタイガーちゃんらしい。コイツの所為で酷い目にあった。
 ギリリッと睨む。

「しかもお母さんにバラしてくれちゃって、まぁ…」
 生きて帰れると思うなよ、というような目である。
 名前も加勢するように黒子の腕の中で睨むものだから彼はフローリングにしゃがむ。

「許してくれ!!お前の母ちゃん怖いし殴るし蹴るしでヤバかったんだよっ!!DOGEZAで許してくれッ」

 額を床にくっつけて土下座をする彼が可哀相に見えて名前は黒子から離れた。

『テツヤくんのお母さんは確かに怖かったよ…。私、苗字名前』

 タイガーちゃんが涙目で顔をあげる。

「俺は火神大我。黒子とは高校からの友達だ」

「タイガーちゃん?ボクはタイガーちゃんと友達になった覚えはありませんが」

『テツヤくんが意地悪だ…』

 名前がよしよしと火神の頭を撫でると、火神を立たせた。デカいだとか思いつつ見上げる。

「ガチで悪かった…。許してくれ…、あとタイガーちゃんって呼ぶな」

「火神くん、まぁ名前さんに免じて許しましょう。もしかしたら結婚までいけるかもしれませんから」

『テツヤくん、嬉しいけど、そんな恥ずかしいこと言うんじゃない』


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