■ 1秒
『テツヤくん、おはよう』
ホームシェアを始めて、更に黒子とも付き合い始め、大学も始まった。
おはようのキスを求めると黒子は応えてくれる。
「おはようございます」
ちゅっと音をたててキスをして、抱きしめ合う。
そして変わらない毎日が始まろうとしていた時だった。
バァンッと乱暴にドアが開いて驚いてそちらを見た。水色のロングヘアの女の人が乱入し黒子と名前を引きはがしてしまう。
『わっ!?』
「……!?」
そして黒子の胸倉を掴みあげた。
『テツヤくん!?その人は…』
「………………お母さん」
「馬鹿息子オォ!!母さんと呼ぶなっ!!貴様ァ、タイガーちゃんから聞いたわよ!!!!彼女出来たってェェ」
『(コワッ)』
タイガーちゃんが一体誰なのかは知らないが黒子とは対照的に気性が荒いようだ。名前は知らぬまにキッチンへ逃げようとしていた。その手をガッと黒子の母親に捕まれる。
『ヒッ!?』
「テツヤがお世話になってます。テツヤの母です」
ニッコリ微笑む黒子ママは美人で若い。なるほど、黒子はこの美人遺伝子を受け継いでいるのか。
『ど、どうも』
「…お母さん、離してください」
黒子が真っ青な顔で言う。身長が高い為に苦しくはないんだろうが、服を捕まれているせいで腹チラ状態である。
「テツヤァ…、彼女作ったら帰ってこいって言っただろう?」
「すいません…、でも名前と離れたくなくて」
嬉しい発言だが黒子ママはカッと目を見開き、黒子をビンタした。そして黒子が倒れる。
『ギャアアア!!テツヤくん!?』
「名前ちゃぁん。テツヤは眠れるルームシェアの美男。キスしてあげて」
空気を読めと黒子の手を踏み付ける黒子ママは美人スマイルを名前に向けた。
『き、キス!?ポジション逆じゃないですか!?』
「あら、出来ないの?」
にじにじと踏みにじる手がガタガタと震えている。
『テツヤくん…』
「ボ、ボクは寝ています。は、早くキスをして王女さまと結婚したい…なー………痛いっ!!痛いです!!」
ガッと更に踏み付けられ黒子は悶える。
「よく言った!テツヤ!!さぁ、名前ちゃん!!テツヤにキスするのよ」
『うっ』
黒子からはいかにも助けてオーラが出ている。仕方ないと名前がしゃがみ黒子に口づけた。
「よーし、良いぞ!!良い眺めだっ」
『(なんつー母親だっ!!)』
「……………」
そして黒子ママは次の命令を下す。
「舌を入れろっ!!」
『ふぐっ!?ちょ…!』
名前も黒子もそんなキスはまだしていない。
「なに?出来ないの?」
「名前さん、舌を入れてくれるんですか!?」
眠れるルームシェアの美男が目を開く。
『舌入れたら、…汚いじゃん』
黒子はエッと声を漏らし、黒子ママは下品に笑った。何だよ、この親子。
「名前さん、ベロチューはこうですよ」
『おいっ!ヤメッ』
ぶちゅっと唇がくっつき、黒子ママはおおっ!と声を上げる。
黒子が名前の唇を舐めた。そのことに驚き、あっと口を開けた。瞬間的に入って来たのは舌。
名前は目を見開き、暴れるが黒子はもっとと深くする。
名前の力が入らなくなる寸前にキスは終わった。
「思わずディープキスしちゃいました」
「テツヤ、意外に男前になったな、母さんは満足だ。名前ちゃん、今度ウチにおいで」
ぐったりと黒子の上で力尽きた名前に言って黒子ママは玄関へ行く。
「もう帰るんですか?」
「テツヤ、結婚しろよ」
『……………』
「してもいいならします」
もうやだ、この親子。
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