■ play...

名前は放課後に黒子の家にお邪魔した。兄が彼氏とプレイしてみろよ、と言って渡してくれたゲームを取り出し、黒子に渡した。

「コレ、やるんですか?」

黒子はゲームのパッケージを見て顔をしかめてしまう。生々しい血が飛び散るパッケージには"Hazard time"と書かれていた。裏面に返してみれば、よく分からない人間のようなものに、銃弾を乱射するイラストが並んでいる。

『私のお兄ちゃんがね、くれたの。お下がりだけど』

照れながら笑う名前に黒子は溜め息をついた。

「Hazard timeってどんなゲームか知ってて言っているんですか?」

黒子はクローゼットの中からゲーム機本体とコントローラを二つ、コードを取り出した。大分、使ってなかったのか薄く埃が被っている。

それをティッシュペーパーで軽く拭いている黒子に名前は頷いた。

『知ってるよ。そりゃあ、有名だし、ゾンビを殺すゲームとしては日本一じゃない?』

ホラーゲームということを念頭に置いてほしいと黒子は切実に思ってしまった。
テレビにコードを接続して、電源を点ける。

「ボクはHazard timeの1stしかやったことないです」

『やったことあるんだ』

意外な話に名前は目を丸くした。


「今はゾンビですらない敵と戦っているらしいですよ」

赤外線通信でコントローラとゲーム機本体を繋いで、テレビのモードを切り替える。

『知ってる!』

「………。ちなみにコレはやったこと無いです。1stしか知らないですよ」

名前が持ってきたのはsix。名前は1stは、どんなのだったかと目をキラキラさせて覗き込む。
それに対して黒子はディスクを渋々入れていた。

『こわい!?ねぇ、怖かった!?』

「…怖かったですよ。ガラス張りのステージでは全ての窓からゾンビの手が、わざわざガラスを、ぱりんこしてくるんです。それで捕まったら引きずられて死んでしまうし、……他には」

もっと怖いシーンはあったかと少し上を向いて考えれば、トレーナーのフードが引っ張られる。

『やっぱ、止めよう』

泣きそうな名前を見た瞬間、黒子はディスク収納ボタンを押したまま固まった。

「(…名前さんの、お兄様はこのフラグを狙っていたのでしょうか?)」

複雑な気分だが黒子はフッと笑って、平気ですよ、と言った。

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