■ (smile)...
スーツに身を包んだ屈強な男がゴロゴロと転がっていた。
血まみれで、誰も息をしている者は無かった。
『ひどい…』
「死んでからそんなに経っていませんね」
そんなことが分かるのかと聞けば、黒子は唇の色を見れば分かると言った。
『気味が悪いし…』
「同感です」
足音だけがコツコツと響く。大分、進んだ所にまたもやドアがあった。
黒子と名前はドアのサイドに立ち、壁に背中を預け途中で死んでいたスーツの男たちから拝借した銃を構えた。
『…………』
「……開けますよ」
黒子が小声で言ってドアを開けた。そして、バッと二人で突入する。
大きな部屋は豪奢な作りで一面に本棚が敷き詰めてあった。
そして、奥には初老の男が倒れており、息はしていないようだった。
『……おじいさんが!』
「…敵です。あの老人は」
黒子が冷や汗を流し、銃を構えたまま窓際に立つ男を睨んだ。そこで名前も窓際の男の存在に気がついた。
『(あれが、ラスボスの!!)』
誰だっけ?ほら、サングラスのね…。
「いきますよ!!」
『う、うん!!』
私の生死を分ける激闘が始まった。
***
何度撃っても弾丸を避けられる。黒子が何度も殴られ、名前は何度も足蹴にされた。
マシンガンを取り損ね、名前は転んでしまった。
『(思い出した!このラスボス、めちゃくちゃ強いんだった!!ロケットランチャーの弾を素手で掴んでたし!!)』
名前こそ思い出せないが、一度あらすじの書かれたパッケージにそんなイラストがあった。
「うぅっ…」
黒子の首を握り締めて立っているラスボスを見た途端に、名前は走り出していた。
『でああああああぁぁぁああっ!!!!!!!!!!』
ラスボスに抱き着きガラス窓を割って飛び降りた。
ガラスの破片が飛び散り、周りがスローモーションに感じる。瞬間的に黒子が窓から身を乗り出して名前に手を伸ばした様に見えた。
このあと黒子は後悔するのだろうか。
絶対に守りきると約束したはずなのに、と。
名前は空中で意識を手放した。
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